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建通新聞社(神奈川)
2015/07/22

【神奈川】遊休不動産のオーナーを発掘、将来はアーティストとマッチング

 若手アーティスト・クリエーターと遊休不動産オーナーをマッチング―。
 横浜市文化観光局は、アーティストやクリエーターを集積する拠点を形成するため、小規模な不動産を低価格で提供する”芸術不動産”事業を民間主導で推進する。2015年度は担い手となる不動産オーナーの発掘と建物の基礎調査に着手するため、「民間主導による芸術不動産事業推進のための環境整備実施業務委託」の委託先選定で公募型プロポーザルの手続きを開始した。8月4日まで入札参加意向申し出書を受け付ける。提案書の提出は8月24〜25日。9月中旬までに最優秀者を特定する。
 委託業務では、老朽化したオフィスビルの空室を低価格でアーティストらに貸し出す芸術不動産の”担い手”となる不動産オーナーやマスターリース事業者を発掘するため、セミナーを開催し情報を発信する。内装工事を手掛ける工務店や不動産仲介業者らも対象に含む。
 これと同時に、事業モデルとなりうる建築物をピックアップして安全性などの基礎調査を行う。対象は関内・関外地区=図=の歴史的・景観的特色のある建物。例えば1950〜60年代に建設された「防火帯建築」=写真=は関内・関外地区内に200棟程度あるとされ、空き家のまま遊休化している物件も多く、これまでにも芸術不動産リノベーション助成事業で民設民営の拠点としての活用例がある。
 このような不動産情報を集め、2016年度以降、アーティスト・クリエーターの移転・入居希望情報と統合し、民間主導によるマッチングの仕組みの構築を目指す。
 〜手入れの行き届かない物件が魅力〜 
 アーティストやクリエーターにとっては、自分たちの拠点やアトリエを自らリフォーム・リノベーションして創出することが芸術活動の一つであるため、拠点探しでは、手入れの行き届かないスケルトンに近い物件を好むという。
 市が14年度にアーティストらを対象に拠点ニーズの調査を行った結果、10〜20平方bの狭く古い物件でも価格が手ごろで自由にリフォームできるのであれば「拠点として活用したい」とする希望が多いことが分かった。
 オーナーが放置していた遊休不動産情報をデータベース化し、アーティストらとのマッチングが整えば、空き家の解消とアーティスト・クリエーターの集積とともに、関内・関外地区の街並みを保存しながらの活性化が期待できそうだ。
 提供:建通新聞社