日本工業経済新聞社(群馬)
2015/07/22
【群馬】農山漁村地域整備交付金の充足率は64・3%
本年度の農山漁村地域整備交付金の予算状況が、県農村整備課などへの取材で分かった。県全体における同交付金の本年度当初予算は、国費ベースで28億1945万6000円を計上しているのに対し、現段階での配分額は18億1251万1000円。充足率は64・3%にとどまる。要望額に対して10億円以上が交付されておらず、同交付金を活用する事業全体に影響が及んでいる。
同交付金は、いわゆる15カ月予算が編成された2013年度までは、ほぼ要望通りに配分されてきたが、昨年度から要望に対する配分額が減少されている。14年度当初における県全体の同交付金予算には34億636万7000円を計上していたが、当初配分額は16億3178万8000円で充足率は47・9%という状況だった。県議会が「農山漁村地域整備交付金の予算措置等を求める意見書」を議長名で衆参両院議長や関係大臣に提出するなどの要請行動にまで発展し、追加割り当てもあったが、それでも最終的な充足率は6割程度で、残りの約4割は交付されなかった。
14年度に着手できなかった箇所は、そのまま15年度分の要望箇所に乗せられているため、本来の15年度分の箇所と合わせて要望箇所が雪だるま式に多くなっている。また、県農村整備課では本年度、同交付金事業の一部を、国が配分額を決める国庫補助(農業農村整備事業)に乗り換えたこともあり、15年度当初の同交付金予算は配分額・充足率共に14年度当初と比較して、数字上では改善されている。
ただ、15年度は補正予算が小規模にとどまっており、国庫補助(農業農村整備事業)の充足率が14年度の84・7%から、15年度は43・4%に大きく落ちている。結果として、15年度の国庫補助と交付金を合わせた農業農村整備事業の配分額は13億4106万8000円、充足率は55・2%で、14年度と同程度になっている。充足率が落ちたため国庫補助により12地区で予定していた、ため池の耐震調査やハザードマップ作成を先送りせざるを得ない状況に陥っているという。
同課の担当者は「全ての地区に影響が出ている。(県の裁量で配分額を決めることができる)交付金については、どうしてもやらなければならない箇所に多く配分するなど、出先事務所と調整し、地域の事情も考慮して配分額を決めた」と話している。県では今後も折を見て、農山漁村地域整備交付金をはじめとする財源措置を国に要望していく。