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日刊建設工業新聞
2015/07/21

【鳥取】記者の手帳「官庁営繕の積算の見える化 発注者間の連携推進が必要」

 15日県庁で開かれた県と4市の営繕主管課長会議で、国の担当者が昨年6月から施行された改正品確法や国が統一基準として推進している営繕積算方式についてあらためて説明した。この法律が施行されてから1年以上が経つこの時期に国の担当者がわざわざ地方にまで出向いて説明することに、あらためてこの法律の趣旨が末端の自治体までまだまだ確実に浸透していない実態が浮き彫りとなった。あらためて言うまでもなく、法律の理念や趣旨が理解されなければ、それが実行に移されることはない。改正のポイントに挙げている「発注者責務の明確化」の周知徹底と、「発注者間の連携」のより一層の推進が求められる。
 この取り組みについては、国と県では少なからず温度差があるが、さらにそれが市や町村などの末端の自治体になるとその温度差はさらに広がる。土木に比べて工種が多岐にわたり積算体系が複雑で、(市場単価が反映される)民間の建築事も絡む官庁営繕の場合はなおさらそうだ。例えば、「歩切りの根絶」のように法的な拘束力でもあれば話は別だが、県、さらに市町村は独立した権限を持つ自治体であり、その指導にも一定の限界がある。だからこそ、この法律でも求めている発注者間の連携の推進、情報の共有がより一層必要だ。
 また、「なんで、建設業者に儲けさせないけんだ」。こんなことを平気で言ってのける不見識な自治体の関係者がごくわずかながらいまだに存在する。こんな例外的な声は論外としても、日ごろ県内の業界関係者が指摘する「過大設計なのか、過少積算なのか。同じ工事なのに県と市町村で設計金額が大きく違うのはなぜだ」。その工事に必要な設計単価は、市場の労務単価や資材などの取引価格、施工実態などを的確に反映して適切に積み上げているか、施工条件ははっきりと明示されているか。その疑問に応えるためにも統一的な積算基準の早期の運用、「積算の見える化」と(業務が兼務のため)どうしても技術体制の手薄になりがちな市町村への積極的な技術支援が求められる。
 「知っていても行動しなければ(実行しなければ)、知らないのと同じ」。平井伸治知事が江戸時代の儒学者、貝原益軒の教えをよく引用して、機動的な行動を促すように、改正品確法や積算方式についてもより確かな実効性(運用)が求められる。(河本)