鳥インフルエンザ発生時における防疫活動の実務等を研修するため、栃木県建設業協会の入江和夫副会長や野澤充広土木委員長ら8人のメンバーが10日、熊本県建設業協会人吉支部を訪れた。支部側は、山口栄治支部長や福元秀逸副支部長ら8人が対応に当たった。
平成26年4月13日に球磨郡多良木町と相良村で発生した鳥インフルエンザでは、人吉支部の会員が殺処分された鳥の埋却と国道や県道など16カ所の消毒ポイントの運営・管理を行った。特に24時間体制で20日間にもおよんだ消毒ポイントの動員数は延べ4640人(普通作業員1856人、交通誘導2784人)に達した。
当時を振り返り山口支部長は「現場を含め大混乱し、すべてが手探り状態だった」とした上で▽重機とオペレーター・作業員の確保▽重機の搬入方法(道路状況が不明)▽掘削や埋設時における現場での指揮・命令系統の混乱―など立て続けに問題が起きたことを報告した。
栃木県側から、重機の確保手段、管内にある農場の把握、消毒作業のポイント―などが質問され、「民間工事に使われていた重機を急遽、確保した」「場所等は、個人情報のためすべてがオープンではない」「アスファルトによる消毒槽では、設置に時間と労力を要する」と回答。特に消毒槽については、迅速・省力化を実現するため県と共同でプール式消毒槽を開発したことを紹介した。このほか、作業日報は詳細に記録するようアドバイスを送った。
最後に山口支部長は、防疫活動中に事故が発生した場合の責任や多忙期の対応(手持ちの公共工事をストップできるか)など解決すべき課題も見えてきたとし「マニュアルも必要だが、現場は刻々と変化する。臨機応変に対応できるよう行政側の配慮も不可欠だと思う」と総括した。
栃木県の入江副会長は「我々も県と防疫協定を結んでいるが、実際にどう動けばよいか不安だった。実体験に基づいた貴重な話しを伺うことが出来、非常に役に立った。県にも報告したい」と意義ある研修だったことを強調していた。
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西日本建設新聞社