寝屋川北部地下河川の整備で、大深度地下利用への方向性がまとまった。大阪府河川構造物審議会大深度地下使用検討部会(部会長・三村衛京都大学大学院教授)が7月13日開かれ、都市計画道路下に大深度を使用して施工するルート案を適切と判断した。
一方、大深度地下を利用する場合、既設の鶴見立坑から大深度地下使用法適用区間に入る大阪内環状線(国道479号)までの急勾配区間の対策については詳細検討が必要と指摘。大深度地下使用に向けた調査・手続きと並行して急勾配対策に向けた検討を進めることとなった。
最短で2017年度の大深度地下使用認可取得を想定しており、鶴見調節池(内径9b、貯水量12万立方b、鶴見立坑〜城北取水立坑)を23年ごろ、都島調節池と排水機場(内径11・5b、貯水量30万立方b、城北取水立坑〜排水機場)は36年ごろの完成を目指すことになる。全体の概算事業費は約1500億円を見込むが、急勾配対策については概算事業費に盛り込んでいない。
都市計画道路下に大深度を使用して施工するルートは、全体延長4684b(内径9b延長約1778b、内径11・5b延長約2905b)。そのうち大深度区間は、内環状線から最下流部までの延長3549b(内径9b延長約643b、内径11・5b延長2905b)。
鶴見立坑から内環状線までの急傾斜区間では、内径9bで勾配34分の1程度と想定した場合、自然流下の流速が毎秒15b程度となる見込み。戸田圭一京都大学大学院教授は「構造物に対する安全性の確保を考えると、やっかいの域を超えている」と指摘。府の担当者は「海外で階段工などの減勢対策の事例がある」と説明したものの、既設の鶴見立坑自体をさらに深くするなどの対策が必要になるのではと話した。
部会の最後に、山田順一河川室長は「鶴見立坑を深くする、(場合によっては鶴見立坑から城北立坑までの間に)中間立坑を新設するなど、考えられる十分な対策を検討していきたい」と締めくくりのあいさつを行った。
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建通新聞社