太田昭宏国土交通大臣が11日、香川県を訪問し、浜田恵造県知事と大西秀人高松市長らと意見交換するとともに、瀬戸大橋記念館や香川用水記念公園など県内の大規模な社会インフラを現地視察した。浜田知事と大西市長は2015年度政府予算等に関する要望、高松市の要望について説明し、それぞれ太田大臣に要望書を手渡した(写真)。
浜田知事は海岸堤防・河川堤防における地震・津波対策の推進について「防災対策推進地域における新たな事業の創設」を要望した。南海トラフ巨大地震に備え対策を強化する「防災対策推進地域」に指定されている本県は、新たな事業の創設による重点的な対策の推進が課題。香川県では南海トラフを震源とする地震の被害想定を踏まえた海岸堤防や河川堤防等の地震・津波対策としてことし3月に「香川県地震・津波対策海岸堤防等整備計画」を策定した。同計画では地震直後に堤防等が沈下し甚大な被害が想定される特に優先度の高い箇所について重点的・集中的な対策工事を実施するため、16年度以降の予算措置と今後の施策の展開について特段の配慮を求めた。
また、社会資本整備総合交付金の必要額の確保や、県道円座香南線道路改築事業中間工区3`で国道32号から琴電琴平線間を部分立体交差でその他平面部を4車線で整備を進め、17年度末までに予定通り完成させるため、国の補助予算の確保を要望した。地域高規格道路の調査区間となっている香南工区6`ではルート選定や道路構造の検討を行っていくことにしており、同工区について16年度新規事業として道路調査費補助の採択を要望した。
四国への新幹線導入について瀬戸大橋の橋梁部は複々線構造により新幹線規格で建設されており、既存ストックを最大限に活用できるとして、日本の4島のうち新幹線空白地域になっている四国に、瀬戸大橋を経由するルートを活用した四国新幹線導入の調査・検討を要望した。
一方、大西市長は大島振興に向けた離島航路の確保や地域公共交通の再構築に関する支援策のほか、椛川ダム(高松市塩江町)の促進や高松市内の道路整備に対する国の補助予算の確保など、四つのテーマについて要望した。大島振興では唯一の移動・物流の手段である航路を安定的に利用できる航路とするため老朽化している桟橋、港湾施設の改修整備や一般的定期航路の開設に向けた施策の実現について特段の配慮を要望。
コンパクト・プラスネットワークの実現に向け既存の鉄道ストックを活用した地域公共交通の再構築に取り組む高松市は、高松琴平電鉄の新駅の設置と一部複線化などを盛る「地域公共交通再編実施計画」を策定することにしており、同計画に掲げる施策・事業の円滑な進捗が図られるよう、具体的で効果的な支援策への配慮を求めた。
太田大臣は「四国全体の防災拠点としても、産業、防災、観光の面からも香川県の港湾、道路には格段の力を入れなければならない」との認識を示した上で、「社会資本整備交付金などにも考慮し、国道11号との連携を含む空港へのアクセス道路や、ダム検証を終えた椛川ダム本体の建設にしっかりと対応していきたい」と述べた。市から提案のあった、地域公共交通の再構築に対し「高松市でコンパクトプラスネットワークのモデルをつくってほしい」と述べ、全国のモデルケースになるよう期待感を示した。
提供:建通新聞社