日本製紙株式会社(東京都千代田区神田駿河台4の6、馬城文雄代表取締役社長)は、秋田工場発電事業計画で環境影響評価準備書の縦覧を開始した。伐採・整地は来年3月頃、土木・建築工事は同年7月頃、据付工事、電気・付帯設備工事は29年4月頃の着工を目指す。発注について一括・分離の方針は現段階で決定していないが、準備書縦覧期間を終えた後の8月以降に設計を委託し、早ければ年内に施工者を選定する可能性もある。
28年度をめどに予定されている電力小売の全面自由化を踏まえ、同社は事業会社を設立して秋田工場敷地の一部に出力11万2,000kWの石炭火力発電設備を設置・運営する。秋田工場は場内に未利用地があり秋田港にも近く、既存のふ頭施設を利用して価格・量ともに安定した石炭の供給が受けられる立地。発電した電力は特定規模電気事業者(PPS)や需要家に販売する計画。
事業実施区域は同社秋田工場(秋田市向浜二丁目1の1)にある約75,000uの林地で、標準状態(0℃1気圧)における排出ガス量は1時間あたり47万7,000㎥。発電用燃料の石炭は年間約33万tを使用し、屋外貯炭場に貯蔵する。工事用の資機材は主に国道7号や寺内新屋雄和線、臨港道路1号線を使用。ボイラなどの大型機器は海上輸送し、秋田港から施工地に搬入する計画。
運転開始は現時点で30年11月を想定しており、運転開始後、燃料として使用する石炭は秋田港から臨港道路1号線を経由し搬入する予定。
ボイラの最大連続蒸発量は1時間あたり380t、蒸気タービンの出力は11万2,000kW、発電機容量は12万4,500kVA、主変圧器容量は12万5,000kVA。復水器冷却器のほか、ばい煙処理装置として排煙脱硫装置や排煙脱硝装置、集じん装置、排気筒なども配置する。
大規模な建築は行わないが、設備を格納する建築物を整備する。例えば、タービン発電機は一般的に、上部に屋根のみをかけるケースが多いが、風雪など本県特有の気象状況も考慮する必要があるため、箱型の格納施設など必要な設備については方針を検討する。配置予定の発電設備は次の通り。
◇貯炭場、重油タンク、運炭コンベア、ボイラ、石炭バンカおよび微粉炭機、蒸気タービン、主変圧器、所内変圧器、復水器冷却水ポンプ、工水タンク、薬品タンク、純水装置、完成水タンク、冷却塔、排煙脱硝装置および再生式空気予熱器、フライアッシュ貯槽、ボトムアッシュ貯槽、押込通風機、電気集じん装置、誘引通風機、排煙脱硫装置および排気筒、酸化装置、水マグタンク、アンモニア設備、環境電気室、定常排水ピット、非定常排水ピット、消火ポンプ室
提供:秋田建設工業新聞社