京都市は8日、右京区太秦の旧右京区役所跡地について、公募型プロポーザルで有効活用事業者を選定するにあたり、募集要項案と審査項目及び審査基準案を明らかにした。
同日の第1回旧右京区役所跡地に係る京都市市民等提案制度による市有地有効活用事業者選定委員会(委員長・谷口知弘同志社大学大学院総合政策科学研究科・政策学部客員教授)で募集要項案等の内容を審議した。
募集要項案によると、応募資格は▽公益社団法人及び公益財団法人▽特定非営利活動法人▽その他営利を目的としない法人(社会福祉法人、学校法人、医療法人等)又は個人▽公共性、公益性の高い事業を営む営利法人又は個人−のいずれかに該当する者(上記いずれかの法人を設立する予定の者を含む)。
活用・貸付条件によると、事業内容は「周辺地域の環境と調和し、公共性・公益性が高く公共の福祉の向上に資する施設整備及び事業を実施するもの」。貸付の範囲は「対象物件の敷地全て。ただし隣接地との境界に設置している塀は取り壊さない」。
貸付期間は「借地借家法第22条に該当するものは50年以上60年以内、同法第23条に該当するものは10年以上50年未満の範囲内で、事業者との協議により定める」。貸付にあたり定期借地権を設定する。
景観面では「京都市景観計画及び風致保全計画に掲げる『広隆寺周辺の落ち着いた景観の保全』『広隆寺周辺における建築形態・色彩等についてのまとまり』に配慮する」「広隆寺との敷地境界に沿って豊かな植樹帯を設けるとともに、敷地境界から建築物の壁面まで十分な距離を確保するよう努める」。
事業実施にあたり新たな雇用の創出に資するよう努め、施設の整備・運営等にあたっては京都市内の事業者を活用するなど地域経済に貢献するよう努める。
最低貸付価格は不動産鑑定評価に基づき設定する。
審査項目及び配点は、[申込事業者の状況]@申込事業者の事務遂行体制・信頼性(5点×係数2)A申込事業者の財務・経営状況(5点×係数2)、[活用計画及び整備計画の内容]B景観への配慮(5点×係数4)C活用計画の実現性・安定性(5点×係数3)D京都市施策への貢献度(5点×係数2)E地域経済への貢献度(5点×係数3)F地域との良好な関係の構築(5点×係数2)、[価格評価]G貸付希望価格の多寡(10点)の計100点に、[加算点]H活用計画において特筆すべき事項(最高5点)の9項目で構成する。最高点数(ただし60点以上)を獲得した事業者を活用事業者とする。
第1回選定委で市側は「提案事業者には、施設の概略がわかる平面図、立面図、パース(外観・内部)、四方から見た近隣施設を含めた全体イメージ図を求める」などと説明。委員から「募集期間が短いのではないか」と指摘する意見を受け、市側は「河原町七条用地の公募型プロポでは当初3週間だったが、委員の意見を踏まえ1ヵ月とした。今回は少し延ばし約1ヵ月半としたが、委員の意見を踏まえ、さらに延ばしたい」と回答した。
スケジュール予定によると現地見学は7月27日1時〜3時。応募受付は当初8月10日から8月21日までを予定していたが、第1回選定委の審議を踏まえ、締切を延ばし9月25日までとする予定。
その後の日程は当初、▽第2回選定委…9月上旬▽契約候補事業者の決定…9月上旬▽協定書締結…9月中旬▽貸付契約締結…10月以降としていたが、応募書類の締切を延ばすことから、概ね1ヵ月程度ずれ込む模様。
旧右京区役所跡地(京都市右京区太秦蜂岡町31、太秦桂木町8−4)は敷地面積が3393・89u(実測面積)。用途地域は第1種住居地域で、その他規制は準防火地域、15m第2種高度地区、風致第5種地域等。
同跡地については、社会福祉法人京都紫明福祉会開設準備室(代表者西島藤彦氏)から「特別養護老人ホーム及びショートステイ施設の設置、地域住民の交流スペースの設置」を目的に、50年間の借り受けの提案を受け、市は公募型プロポで有効活用事業者の選定手続きを進めることとした。
担当課は京都市行財政局資産活用推進室資産有効活用担当。