香川県は、老朽空をき家対策で本年度から新規に「老朽危険空き家除却支援事業」に取り組んでいる。国の「空き家対策推進特別措置法」(特措法)の5月からの全面施行を受け各市町が主体的に取り組む法整備が大幅に進んだことで、県内では丸亀市、さぬき市と小豆島町を含む2市3町が老朽危険空き家除却支援事業の実施を予定し、県の働き掛けにより2市1町が実施の意向を示している。県はさらに他の市町にも支援事業への働き掛けを行い、国、市町とのより一層の連携強化で老朽空き家対策をさらに推進していく考えだ。
老朽化し倒壊などの恐れのある空き家は防災、環境面などで住民生活に影響を及ぼすことから除却に対し市町の負担を県が負担する補助制度を新設した。県は国の社会資本整備総合交付金等の基幹事業の「空き家再生等推進事業」をベースに、老朽化かつ危険な空き家に対し、市町に対し補助する。併せて技術的な助言や相談の対応も行う。
国の「空き家再生等推進事業」(除却事業タイプ)は、老朽化の著しい住宅が存在する地区での居住環境の整備改善を図るため、不良住宅や空き家住宅、空き家建築物を除却する補助制度。県が15年度から新設した老朽危険空き家除却支援事業はこの中の老朽化し、かつ危険な不良住宅を対象に補助を行う。
例えば、事業主体が民間の場合、負担割合は国費5分の2、地方公共団体5分の2、民間5分の1。このうち、地方公共団体の負担を軽減するための除却支援事業では県が最大で地方公共団体負担分(5分の2)の半分(5分の1相当分)を負担する。
市町が同支援事業を活用する場合にまず、市町職員が対象になる老朽化し、かつ危険な住宅を点数化し一定点数を超えると、除却支援の対象となる不良住宅になる。県は住宅点数化の際の採点の目安を事例的に示すなど、技術的な支援も行っているほか、老朽空き家対策に関する市町への情報提供や情報共有の連携強化を図っている。
空き家問題を解消する特措法は国土交通省や総務省が定める基本指針に従い、市町村に「空き家等対策計画」を策定して対策の推進を求めており、立入調査権限も付与した。対策計画では地域活性化などから除却後の跡地利用の方針を推進する施策も盛り込むよう促しており、利用可能な空き家や跡地情報を市町村が収集した上で跡地活用の希望者募集の手法も例示した。
6月県議会で自由民主党が行った代表質問の中で老朽空き家対策に対し、浜田知事は「単なる空き家の除却にとどまるのではなく、従来よりもよりよい住環境の形成につながるよう、跡地事例の先進的な取り組みの紹介や、市町からの相談に対応する」と答弁し、老朽空き家対策に積極的に取り組む考えを示している。
提供:建通新聞社