日本工業経済新聞社(山梨)
2015/07/06
【山梨】唯一の徒歩鵜伝承へ建て替え確認 笛吹市の鵜飼育・見学施設
笛吹市は、ミズベリング構想のなかの「鵜の飼育・見学センター検討会議」の初会合を1日開いた。日本で唯一の徒歩鵜(かちう)の伝統を後世に伝える必要があるとして建て替えの方針が確認され、次回から具体的な施設内容を議論する。
石和町四日市場にある現在の鵜飼育施設は、1977年から78年に建てられたもの。木造トタン葺きの小屋は延べ9・36uで、隣接する軽量鉄骨による網で覆われたコンクリートブロック造りのプールは3・6m×5・2m。93年に大規模な改修を行ったものの、基礎柱の腐朽や網部分のさび、コンクリート劣化によるプールの水漏れなど随所に見られる傷みに対しては、毎年小規模な修繕で対応している。
座長を務める小林明副市長は「ここでしか見ることができない貴重な伝統文化を大切にし、後世に引き継がなければならない。観光面もあるが、子どもたちに親しんでもらい、文化を継承していくために、どうしたらいいか意見をいただき具体化していく」とあいさつした。
鵜匠が直接川に入って鵜飼を行う徒歩鵜が笛吹川だけとなってしまった実情や飼育施設の現状の説明を事務局から受け、委員からは概ね施設建て替えに前向きな声が聞かれ、「水族館のように全面ガラス張り」「上からも横からも見ることができるもの」「小学校の課外授業でも使用できる」など積極的な意見も出た反面、「何故継承するのか周知されていないのでは」との課題の指摘も見られた。
しかし、会全体としては建て替えの方向が確認され、今後は施設内容に踏み込んで議論を深めていくこととなった。次回の会合は8月のお盆過ぎころを予定している。
【写真:@かつての鯉養殖池を借用し井戸水を利用している現飼育施設A建て替えが確認された検討会】