大阪府のまち・ひと・しごと創生審議会の第1回会合が開かれ、8月中の総合戦略素案策定に向けて議論が始まった。まち・ひと・しごと創生は、国が今後5年間の取り組みとして、東京の一極集中の是正や地方創生を実現するため、UR団地の福祉拠点化、公共施設・公的不動産の利活用についての民間活力の活用、空き家対策、インフラの戦略的な維持管理・更新の推進などの政策パッケージを示し、各種支援に向け各自治体に総合戦略の策定を求めている。
府の人口は、人口ビジョンとまち・ひと・しごと創生総合戦略の骨子案によると、直近の2010年10月の887万人をピークに減少が始まり、40年には750万人、60年には600万人程度まで減少する可能性がある。
人口減少の大きな背景に東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)への転出超過が長期で続いていることがあり、人口ビジョンには大阪独自の視点として、「東西二極の一極としての社会経済構造の構築」を盛り込んでいる。また、産業集積や都市魅力の向上を通じて、昼間人口やインバウンドなど交流人口の増加を図る。人口減少に歯止めがかかれば40年の想定人口は88万人増の838万人にできると試算する。
委員からは、「東京(圏)からの転勤で大阪(府内)に住む人が少ないという話をよく聞く」(岡絵里子関西大学環境都市工学部准教授)といった声や、「30〜39歳で転出超が多く、15〜24歳は転入超が多い。今、府内に住んでいる人が出ていかない(出て行こうと思わない)施策を展開する方がコストも安く効果が高い」(錢高丈善錢高組常務役員)といった意見が出た。事務局からは、現在進めている業務委託の中で、東京(圏)からみた大阪の魅力や、各企業の傾向を把握するようにしている旨の回答がなされた。
大阪の人口増加、ひいては、東京一極集中の是正へ、府がどのような具体的戦略をまとめるのか注目だ。
提供:建通新聞社