学識経験者、建設産業団体、教育・職業訓練機関や行政機関で構成する「香川県建設産業人材確保・育成検討会」(会長・佐藤忍香川大学経済学部教授)の第1回会議が17日に県庁内で開かれ、建設産業の人材確保・育成対策の在り方について意見を交わした。全国的に見ても若年層の減少率の高い香川県の建設産業の人材確保・育成問題は喫緊の課題。県内建設産業の人手不足の現状と課題整理のほか、人材確保対策や若手の育成、離職防止対策などについて検討する。2016年3月に取り組み指針を公表。16年度から各機関が有機的に連携し共同で人材確保・育成対策事業に乗り出す。県は16年度予算編成が本格化する今秋以降に、関連予算措置など具体的に対応していく考えだ。
検討会では国の「建設産業活性化会議」等の議論を踏まえて県独自の建設業者や工業高校生の生徒へのアンケート調査結果を活用。年4回程度の開催により、各機関の具体的な対策と取り組みについて体系的な指針をまとめる。次回は8月7日に開催する予定で、アンケート結果の報告や課題を整理し基本的な方向性を確認する。
第1回会議では、まず県内の建設投資、建設業許可業者数や建設産業就業者数とその年齢構成の推移などから、全国に比べ若年建設労働者の減少率が顕著な県内の建設産業の現状が示された。
その上で県が実施した人材確保・育成の主な取り組みとして、例えば技能者の処遇改善の徹底で▽適切な賃金水準の確保等(実勢を反映した適切な公共工事設計労務単価の設定や、実勢価格を用いた予定価格の設定。スライド条項の適切な運用他)▽社会保険未加入対策のさらなる強化(入札参加資格を社会保険等加入業者に限定、一定要件以上の工事における1次下請けを社会保険等加入業者に限定)▽ダンピング対策強化―などを列挙。若手の早期活躍の推進では▽総合評価方式(企業評価型)に「若手・女性技術者育成型」の導入▽建設工事人材育成モデル事業補助金制度の創設など―を報告した。
また、中長期的な事業の見通しの確保や「地域の守り手」が維持・確保される入札契約(若手技術者や建設機械等の保有台数等の要素の適切な評価と、地域要件の適切な運用、多様な入札契約方式の検討)など、将来を見通せる環境整備も挙げた。
一方、検討会を構成する各教育・職業訓練機関は人材確保・育成の取り組みの現状と課題に触れ、香川県建設業協会と建設産業専門団体四国地区連合会ではインターンシップ制度や出前講座、中長期的な公共工事の見通しと下請け経審の導入による専門工事業の評価についての提案など、建設産業の人材確保と育成に向けた方策を検討する上で、何らかの支援が必要との現状認識を示した。
提供:建通新聞社