日本工業経済新聞社(群馬)
2015/06/19
【群馬】前橋市が臨江閣の別館を改修
前橋市は本年度、大手町3丁目にある臨江閣別館の大規模改修を行う。工事は建築、機械設備、電気設備の3分割となる。臨江閣別館は、市指定重要文化財に指定されるなど、工事の専門性を必要とすることから、建築のみ夏ごろにプロポーザル方式で公募する考え。建築工事は議会案件となる見通しであるため、9月定例議会に契約案件を上程する。改修にあたっては、2016年度までの債務負担行為に4億5884万7000円を計上している。
臨江閣別館は、1910年築のW造平屋建て、延べ床面積1001・2u。入り母屋造りの書院風建築で、耐震補強と老朽化に伴う改修などを実施する
耐震補強では、耐震壁を一部設置して施設の強度を向上させるほか、安定性の確保を目的に基礎を広げる。
老朽化への対応では、既存の屋根瓦が泥により設置された土居葺き屋根であることから、屋根に架設覆屋を設置し桟瓦葺きとする。既存瓦の再利用を基本としており、老朽化が著しいものだけを、新たに製作した瓦に変更する。
このほか、本館と別館に冷暖房機をそれぞれ設置するとともに、別館2階の大広間にある舞台を撤去し、創建当時の状況に戻す。
建築はプロポーザル方式で夏ごろの公告を予定しており、その後に機械設備、電気設備を順次発注する。着工時期については、NHK大河ドラマ「花燃ゆ」の終了後となる2月を予定している。設計は、景観建築研究機関(前橋市)が作成した。
臨江閣は、市指定重要文化財である別館と県指定重要文化財の本館および茶室の3棟から構成されている。このうち、工事を行う別館は、1階に西洋室1室と日本間7室があり、2階には大広間がある。建設から100年以上が経過し、雨漏りが発生するなど老朽化が進んでいることから、安全性の向上と保存などを目的に工事が計画された。
市は当初、前年度の工事着手を計画していたが、大河ドラマの放映と臨江閣とを合わせたPRを進めていくため、工事の時期を先送りした経緯がある。