千葉袖ケ浦エナジー(千葉市美浜区中瀬2―6―1、ワールドビジネスガーデンマリブイースト25階)が計画する「(仮称)千葉袖ケ浦火力発電所1、2号機建設計画計画段階環境配慮書」の縦覧が16日から始まった。袖ケ浦市中袖地先の出光興産バルクターミナル未利用地に、石炭を燃料とする超々臨界圧方式による最大約200万kw(100万kw×2基)の発電所を整備するもの。縦覧は県環境生活部環境政策課、袖ケ浦市、市原市、木更津市など16か所で来月15日まで行う。配慮書及び要約書は同社のホームページでも閲覧できる。
千葉袖ケ浦エナジーは、同発電所を設置するため、出光興産、九州電力、東京ガスの3社により5月1日に設立された特別目的会社(SPC)。発電所は電力の小売の全面自由化を踏まえ、3社が持つバリューチェーンなどの強みを生かし、より安全で安定的に安価な電力供給の実現を目指し、社会的要望に応えるために計画された。
2020年に1号機、21年に2号機に着工する。工期約50か月で25年に1号機、26年に2号機の運転開始を目指す。燃料は石炭のほか、バイオマス混燃なども検討する。
今後は、環境影響評価方法書、現況調査・予測・評価、環境影響評価準備書、環境影響評価書など環境影響評価の手続きを順次進め、事業化を目指す。また、住民説明会などの開催も予定する。
なお、環境配慮書の業務は東京久栄(東京都中央区日本橋3―1―5)が担当。
事業の内容は次の通り。
【事業の名称等】
▽事業の名称=(仮称)千葉袖ケ浦火力発電所1、2号機建設計画▽設置される発電所の原動力の種類=汽力(石炭)▽発電所の出力=約200万kw(約100万kw×2基)▽実施想定区域及び面積=@所在地・袖ケ浦市中袖3―1他A面積約190万u(陸域面積100万u、海域面積約90万u)
【事業に係る電気工作物その他の設備】
▽主要な機器等の種類=@ボイラー形式・超々臨界圧変圧運転貫流式、ボイラー燃焼方式・微粉炭燃焼方式A蒸気タービン形式・串型4車室4流排気式再燃再生式、出力約200万kw(約100万kw×2基)B発電機・横置円筒回転界磁型C主変圧器・送油風冷式D燃焼設備・屋内貯炭場、運炭設備、その他、出光バルクターミナルの貯炭場を一部利用予定E取水設備・深層取水方式、放水設備・水中放水方式Fばい煙処理設備・排煙脱硫装置(湿式、石炭石・石膏法)、排煙脱硫硝装置(乾式アンモニア接触還元法)、集じん装置(電気式集じん機)
▽発電用燃料の種類=発電用燃料の種類は石炭であり、揚炭場から石炭粉じんの飛散防止対策を施した密閉構造のコンベア等により輸送し、事業実施想定区域内に設置する屋内貯炭場に貯蔵する計画。なお、燃料の貯蔵は、出光バルクターミナルの貯炭場を一部利用する予定。また今後、バイオマス混燃等も検討する計画。
▽ばい煙=煙突の高さは、ボイラー等による建物ダウンウォッシュの発生を回避するため180m以上とし、類似発電所の事例や、周辺の発電所で高さ200mの煙突が存在することから、構造について煙突の高さの複数案(煙突高さ180m及び200m)を検討する。
▽復水器の冷却水=取放水口を新たに設置する。
▽用水=工業用水及び上水を使用する。
▽一般排水=プラント排水や排煙脱硫装置からの排水のほか、生活排水等がある。これらの一般排水は、新たに設置する総合排水処理装置等で適切に処理を行った後、排水基準以下で海域へ排出する。
▽騒音・振動=防音・振動対策を適切に施すことにより騒音・振動を規制基準以下に低減する。
▽石炭粉じん・石炭灰=石炭粉じんの飛散防止対策については、貯炭場の一部を利用する予定である出光バルクターミナルにおいて、密封型コンベアによる構内輸送、防風壁の設置、石炭への散水、搬出車両のタイヤ洗浄、石炭飛散防止対策型のトラックによる搬出等の防止対策を講じているが、さらなる防止対策のため、新設については、密封型コンベアによる構内輸送に加え、屋内における石炭貯蔵(屋内貯炭場)等を計画している。施設の稼働に伴い発生する石炭灰については、屋内貯蔵設備に保管し、セメント原料等として全量有効利用する。
▽工事用資材等の運搬方法=ボイラー、タービン、発電機、変圧器、鉄骨類等の大型材料については、海上輸送、その他小型機器類、工事用資材については陸上輸送により運搬する計画。また、海上輸送による資材の搬出入は、事業実施想定区域に設置する搬出入用岸壁などより行う。
【工事の期間及び工程計画】
主な工事としては、基礎工事、機器据付工事及び取放水設備関連工事がある。着工から運転開始まで約5年を予定。20年着工予定、25年1号機運転開始予定、26年2号機運転開始予定。