日本工業経済新聞社(群馬)
2015/06/16
【群馬】職人育成校創設へ 建設業担い手確保で官民連携
建設業で働く職人を育成する専門校を創設する、官民連携の取り組みが始まった。国土交通省や沼田市、群馬県建設業協会らが建設業の担い手確保を目指し計画。来年4月の開校を目指し、準備会を立ち上げた。12日に関係者による初会合を開き、学校の概要や開校までのスケジュールについて審議。同省関係者は今後の展開が期待できるとして、全面的に協力する方針を示した。全国展開も視野に入れており、多くの関係者が今後の広がりに期待を寄せている。
統廃合などで空き施設となった小学校などを改修、活用する。板金や瓦など1工種の講習を行う「短期コース」と複数の工種を学ぶ「長期実践コース」を設け、全国から生徒を募集する。
受講期間は短期コースは半年間、長期実践コースは1年間。短期コースでは、道具の名称や安全管理の重要性などの基礎知識から、現場での実際の作業訓練までを講習し、短期間で即戦力となる人材を育成する。スマホなどで復習できる「eラーニング」にも対応する。
長期実践コースでは、屋根や壁など4工種程を総合的に学習。複数の工種で活躍できる多能工型の職人を育てる。起業や新技術の商品化なども支援し、業界の活性化を目指す。
9月をめどに運営母体となる一般社団法人「利根沼田テクノアカデミー」(仮称)を創設する。同アカデミーは、板金職人の育成に実績が豊富なテクノアウター(桑原敏彦会長、沼田市)や専門工事業者でつくる「ちきゅうにやさしい施工研究会LLP」(大阪市浪速区、吉田雅哉代表理事)、海外の人材活用に取り組むマツザワ瓦店(松澤考宏社長)といった民間事業者のほか、群馬県建設業協会(青柳剛会長)や同省、沼田市、建設業振興基金らで構成。鉄筋業や左官業の関係者も参加している。
この日の会議では「建設業に興味を持っている人が集まる場が必要だと思っていた」「講師の育成が課題」「人を集めるための広報活動が重要」「廃校を整備する費用をどう捻出するのか」「職人の将来的な生活設計を明確にすべき」などの意見が出た。
テクノアウターの桑原会長は「個人レベルではなく、地域と密着してやることが重要。建設産業を変えるためにやっていきたい」と意気込みを語った。
群馬県建設業協会の青柳会長は「人材育成は待ったなし。まずは人を育てるという熱意こそが大事だ」と、事業に全力であたる決意を示した。
国土交通省専門工事業・建設関連業振興室の長福知宏室長は、廃校を利用するという汎用性の高さや、全国から職人が集まることにより地方の活性化につながるなどの理由から「全面的にバックアップしていきたい」と、積極的に支援する考えを示した。