県総務部市町村課は5月29日、県内市町村の2015年度当初予算(普通会計)の概要を明らかにした。それによると、市町村の予算総額は2兆1510億2100万円で、前年度比735億4000万円増(3・5%増)と7年連続の増加となった。予算総額が前年度に対して増額した団体は34市町村で、うち22市町が過去最大。一方、大型建設事業の終了などにより20市町村が前年度より減少した。
歳出は、投資的経費が3047億7100万円で前年度比18・7%増、義務的経費が1兆463億9200万円で同0・9%増。投資的経費は2年連続の増加、義務的経費は3年連続の増加となった。
投資的経費のうち、普通建設事業費は2725億4100万円で同9・4%増。補助・単独の別では、補助が1152億6300万円で同6・6%増、単独が1533億4800万円で同9・5%増。
投資的経費は、普通建設事業費が小中学校の耐震改修や老朽化施設等の再整備などにより増加。また災害復旧事業費が、浦安市における市街地液状化対策事業などにより325・1%(246億4900万円)と大幅に増加したことから、2年連続の増加となった。
県市町村課では、県内各市町村が消費税率の引き上げに伴う増収分を活用して社会保障の充実に取り組むほか、人口が増加傾向にある県北西部などの市では、市税の増収を見込みつつ基金を取り崩すなどして、庁舎・公共施設の老朽化に伴う建て替えや改修、東日本大震災に伴う液状化対策などの大規模事業費が計上され、投資的経費が拡大したと見ている。
義務的経費は、公債費が3・6%(72億1300万円)の減少となったが、社会保障関係費である扶助費が、子ども・子育て支援新制度の実施に係る給付、障害者支援や生活保護費の受給者数の増などにより4・0%(178億1200万円)増加したことから、3年連続の増加となった。
一方、歳入面では市町村税が9543億8600万円(前年度比0・4%減)で3年ぶりに減少。地方消費税交付金が938億8400万円(同43・9%増)で2年連続増加。地方交付税は1479億6700万円(同1・5%減)で3年連続減少。国庫支出金は3049億4500万円(同1・8%増)で3年連続増加。県支出金は1122億5000万円(同10・4%増)と6年連続増加。地方債は2104億1100万円(同6・7%増)で4年連続の増加。繰入金は893億400万円(同9・7%増)で4年連続の増額。
このうち地方債は、全国防災事業や庁舎整備事業などにより前年度に対し132億1600万円増加。なお、地方の財源不足のために発行される臨時財政対策債は、国において地方税が増収となる中で、地方交付税の減少が最小限にとどめられたのに伴い、前年度に対し118億3200万円の大幅な減少となった。
このほか、15年度末の基金残高は3058億5800万円で、前年度末に対し18・6%減と大幅に減少する見込み。財政調整基金は県内54市町村のうち48団体で減少、特に一部の団体で大規模事業の実施などに伴い取り崩しを行うことから、前年度末に対し17・9%(348億1300万円)と大幅に減少する見込みで、団体によっては年度間の財政調整機能を十分に果たすことが困難な状態にまで減少する見通しとなっている。