日本工業経済新聞社(山梨)
2015/06/01
【山梨】安全性に優れ24時間稼働のマイクロ水力発電 山梨市が水口配水池に設置
山梨市は5月28日、上水道余剰圧力を活用しての発電プロジェクトに取り組むとして事業概要を明らかにした。安全面で優れ、昼夜を問わず稼働する小規模水力発電は、産官連携による効果も含め期待が大きく、望月清賢市長も「実験的にやってみて良い結果が得られれば次回へ」と意欲を見せた。
マイクロ水力発電プロジェクトの発表会見には、望月市長をはじめ市と連携して事業に取り組む、埼玉県春日部市のケーティーインセンスモールの金子利雄代表取締役が出席。監修として信州大学の飯尾昭一郎准教授が同席した。
マイクロ水力発電は水道管内に水車を設置するため、河川や水路などとは違い増水や流木による破損の危険性がなく水利権も発生しない。昼夜を問わず24時間・365日の稼働が可能で、災害時の非常用電源としての利用も視野に入る。
また、産官連携で取り組むことにより「今まで使っていなかった余剰圧力を使用する再生可能エネルギーの普及」「水道施設の有効利用で水道料金以外の収入が得られる」「新エネルギー発電の環境教育の場としての期待」などの効果も生むとしている。
同市が管理する水道施設は市内に50カ所ほどあり、今回のプロジェクトを受け、水口、大工高区および大区低区の3カ所の配水池を一昨年に視察。水口配水池(山梨市堀内2044−1)を候補地に定め、27日に設備の設置を終え、7月上旬の運用開始を目指している。
仕組みは、山口受水池から水口配水池へ送水する圧力を利用して発電するもので、水口配水池は容量126?(2m×5m×6・3m×2池)。1日平均の配水量は1174?で、発電機に接続した水車を備えたバイパス管を取り付け、落差約50m、毎秒約14リットルの流量で発電を行う。現状2kW弱とする発電出力も、水車部分の性能向上により3〜4kWに高める目標を掲げている。
設備設置費用850万円は企業側が負担しており、売電による配分はおよそ企業9割、山梨市1割。
会見で望月市長は「市内は南北に流れる笛吹川を中心に小水力発電を計画するうえで有利な条件な箇所が多い。有力地点では事業実施に向けて調査している。初期投資が回収できれば施設は市に移譲されるので楽しみにしている」と述べ、今後箇所が増え効率的な事業展開が図れることに期待を寄せた。