ことし4月の統一地方選において、3期目の当選を果たした館林市の安樂岡一雄市長は、弊紙・群馬建設新聞の単独取材に応じた。これからの4年間について、地域経済の活性化や茂林寺沼周辺の整備のほか、新しい産業団地の造成などを計画しているという。地方創生が注目される中、どのようなまちづくりを目指すのかを聞いた。
―無投票での再選となったが、今の心境は
安樂岡 責任の重さを痛感している。財政難、医療福祉、人口減少などさまざまな厳しい課題が地方には山積しており、これからの4年間、強い決意で職責を果たしてまいりたい。
―2期目を振り返ると、多くの事業で進捗が見られた
安樂岡 医療福祉の面では、障がい者総合支援センターの開設、館林厚生病院の耐震化工事を実施したほか、小中学校耐震化の完了、凸凹道路の解消による歩行者安全対策で、安全安心も向上したのではないか。また、渡瀬南部産業団地と北部第三工業団地を造成し、分譲もすべて終了した。自然・歴史・文化を生かした街づくりも進んでいる。
―これからの4年間での課題や重要事業は何か
安樂岡 まず地域経済の活性化、茂林寺沼周辺の観光地化の2点。郊外の大型店だけでなく、商店街を盛り上げることが重要。賃貸料や店舗改修の補助、空き店舗への進出支援などを行い、また、女性のキャリアアップを後押しし、正規雇用の増加を促したい。茂林寺の周辺は、観光資源が豊富なエリア。整備に向け、民間の声も聞きながら意見の集約を図る。館林駅の駅前整備が終わる2年後くらいから茂林寺前駅の周辺整備に着手し、観光地らしい場所にしたい。
―そのほかの事業は
安樂岡 耐震化では、消防本部、学校給食センターをどうするか考えていかねばならない。さらに、新しい産業団地の造成も検討している。現在も企業からの問い合わせも多いが、市には空き用地がない。館林は平地で災害が少なく、交通と水の便もいい。雇用と安定した財政基盤の確保といった面から団地造成を行い、優良企業を誘致したい。医療面では、医師の確保。厚生病院の診療科目にない産婦人科医などを呼びたい。財政を考慮しながら、しっかりとやりたい。
―どんなまちづくりを進めるのか
安樂岡 『ウォーキングのまち』を提唱している。これまで豊かな自然を生かしたまちづくりを行い、城沼の『朝陽の小径』、まもなく完成する多々良沼の『夕陽の小径』などの遊歩道は市外からの評価も高い。歩くことが健康維持に一番良く、高齢者の健康寿命を延ばしたい。
―暑さ対策も重要だ
安樂岡 行政と民間が総力を上げて対策に努めている。昨年は日本一暑い日が22回あった。駅前広場には、日よけの緑のカーテンやミストを発生させる装置、涼み処を設置した。歩行者が休憩できるように、涼み処を少しずつ増やしていきたい。
―国や県へ要望したいことは
安樂岡 やはり交付税措置に加えて、自由度が高く、まちづくりに使える交付金をもっと増やしてほしい。また、群馬県土地改良事業団体連合会の会長も務めているため、先日農水省へ農山漁村地域整備交付金の予算要望へ行ってきた。民主党政権時代に大きく削られ、政権交代で持ち直したがまだ低い。市内でも痛んだ農業用排水路があり、放置すればさらに担い手が減る。改修や長寿命化が必要だ。
―建設業へメッセージを
安樂岡 2009年の竜巻災害では、業界の皆さんに助けられた。インフラ整備の役割はもちろんだが、災害時に現場へ駆けつけてくれる地元業界を守るために、一定の事業量を継続的に確保したい。