建通新聞社(東京)
2015/05/20
【東京】舛添知事 新国立競技場費用負担は説明不十分
東京都の舛添要一知事は19日の定例会見で、新国立競技場の施設整備に関する見直しや都の費用負担について触れ、「競技場への連絡通路整備など都が負担すべき費用はせいぜい50億円程度のはずだ。500億円もの負担を求める下村博文文部科学相の説明は十分ではない」とあらためて述べるとともに、施設整備に関する費用の見積もりを文科省が5月中にまとめた後、「早急に都民に説明すべきだ」との考えを示した。
18日に都庁に舛添知事を尋ねた下村文科相は、工期短縮のため新国立競技場のフィールドを覆う開閉式屋根の設置を大会終了後に延期し、コスト削減策として常設の観客席を減らす方針であると説明。その後、文科省が観客席について、約1万5千席分を仮設にすることを検討していると発表している。
舛添知事はこの内容に関して「多くの都民ががっかりしたし、私も同感だ。開催都市の首長として、何より開催時に新国立競技場が完成していないことを強く危惧している」と発言。都が施設整備に関連して費用負担することに一定の理解を示す一方、「現在の事業内容であれば、都の負担はせいぜい50億円程度のはずだ」との試算結果を述べた。その上で、「自治体が国に寄付することは許されていない中で、500億円もの支出を都民にどのように説明するのか」と話し、国が費用負担の内訳を早期・詳細に公表することを求めた。
さらに、「大会後も毎日のようにイベントが開かれ、8万人もの人が訪れるというのであれば、500億円の支出をペイできるかもしれないが、そんな考えは楽観的すぎる」とくぎを刺し、「維持管理にも膨大な費用が掛かり、いずれ都が費用負担を求められることも考えられる」と危機感を表明した。