建通新聞社四国
2015/05/15
【愛媛】愛媛県 小規模木製ダムの有効性検討
愛媛県は、土石流災害防止に向け小規模な木製ダムの有効性を検討するため、2015・16年度の2カ年で効果的な設置方法や災害防止効果を検証する「木製ダム設置実証事業」をスタートする。15年度には東・中・南予の各1地区にモデル的な木製ダムを設置するとともに、庁内に検討プロジェクトチーム(PT)を設置し設置方針や基準、効果検証を行う。
15年度の設置地区や1地区あたりの木製ダム設置基数など検討課題も多く、着工時期は未定。規模についても検討課題だが1基当たりの事業費は2〜300万円程度となるもよう。16年度にも3地区へ設置する。
PTの構成は、森林整備課と砂防課の職員の他、学識経験者などの有識者で構成。設置に向けて作業が進められており、近く発足するもよう。
小規模木製ダムは、木製なため10年程度と耐用年数に限りがあるが、危険渓流上流部の小渓流に設置することにより、不安定土砂が雪だるま式に大きく下流に流出しないようにすることができ、数カ所設置すれば被害を小さく抑えられるほか、コンクリートダム設置に数千万円かかる事業費を大幅に抑えることができ、早期に整備推進が図れる。
中村時広知事は防災・減災対策に力を入れている中、14年8月に発生した広島市豪雨土石流災害を教訓に、「15年度から木製ダム設置実証を行い、効果があると判断できれば一気に事業推進する」と語る。
小規模木製ダムは、西条市が04年災害を受けて06年度から間伐材を活用し数カ所に設置している実績がある。西条市の小規模木製ダムは、現地で調達した間伐材に必要最小限の加工を施し、現地の岩石を利用して造られる高さ2b程度のダム。
県内には土石流が発生する恐れがあると認められた土石流危険渓流が5877カ所あり、うち整備着手されているのが1218カ所で着手率は20・7%(14年3月31日現在)となっている。