日本工業経済新聞社(群馬)
2015/05/11
【群馬】わたらせ森林組合の地域材加工センターが近く着工
わたらせ森林組合(田川英二代表理事組合長、みどり市)は、みどり市東町荻原へ設置を計画している(仮称)地域材加工センターの建設工事にまもなく着手する。現在は新井土木(みどり市)が敷地の造成を行っており、建築工事は桐生建設(桐生市)が担当する。設置計画を進めてきた、みどり市によると、総事業費は約4億4500万円で、国、県、みどり市、桐生市が補助金を拠出する。完成すれば、東毛地域における林業振興の核となることが期待されている。
わたらせ森林組合は、みどり市東町や桐生市黒保根町の民有林を事業区としている。豊富な森林資源が広がる一方で、原木や間伐材などの加工施設が近くになく、渋川県産材センターや県外の施設へ搬出する場合、運送費などの経費が事業者にとって大きな負担となっていた。
対策を考えるにあたり、同組合だけでは人材やノウハウが不足することから、みどり市が整備計画の調整などを担当。市は、昨年度に林野庁から職員を招聘し地域材加工施設の整備に向け、準備を進めてきた。
建設地は、東町萩原を走る一般県道花輪水沼線と一級河川渡良瀬川に挟まれた約5500u。同組合の小径木加工センターに隣接した民有地を借り受けている。
建設される施設は4施設で、メーンの製材棟はW造平屋建て、延べ床面積約700u。コンピュータ化された製材機を導入し、丸太から板材、チップへ加工できる「キャンターシステム」を取り入れる。また、はく皮やチップの一部を乾燥用燃料として使用するなど、低コスト化も図られている。このほか、樹皮を取るW造平屋建ての機械建屋、非W造の集塵ストック所と木質ペレット加工所が建てられ、延べ床面積は計1000u程度となる見通し。
県道から建設地へ通じる道路が一部河川区域へ重なるため、みどり市が河川占用の許可を取っている。計画が順調に進捗していることから、工事は今月中に基礎工事へと入りそう。市によると、機械メーカーから8月下旬以降に搬入したいと話があり、そこから設備工事や電気工事を進め、11月中の試験稼働開始を目指しているという。本格稼働も本年度内の予定だ。
新施設の原木消費の計画目標だが、当面は年間約8000<001a>を見込んでいる。ラミナ(板材)や生チップのほか、木質ペレットを生産する。ラミナはここから住宅メーカーなどの2次加工工場へ運ばれるが、これまでの丸太のままよりもトラック1台あたりの積載量を増加でき、より効率化が図れる。
また、木質ペレットは地域の施設園芸農家が使用するボイラー用燃料となる。昨年度から農家にボイラーを試験的に導入したが、経費面で化石燃料と差がなく好評を得ている。市内には約170戸の施設園芸農家があり、今後普及が予想されている。
地域内の民有林人工林は約7000haで、森林蓄積量は約322万<001a>。10年後くらいから本格的な主伐が始まる見通しだが、地域材加工センターへ導入される機械は柱材の加工にも対応している。みどり市は「この加工センターにより、少しでも森林所有者の利益が増え、林業が活性化してほしい。林業者の若返りにも期待したい」と話している。