建通新聞社(東京)
2015/04/30
【東京】豊洲新市場の千客万来施設 喜代村の撤退で白紙に
東京都が豊洲新市場の目玉施設として新設する「千客万来施設」の整備・運営事業者となっている喜代村(中央区)は、採算性などを理由に事業から辞退することを都に伝えた。同社とグループを構成していた大和ハウス工業(大阪市北区)も2月に撤退を決めており、千客万来施設の建設は完全に白紙の状態となった。都は今後、あらためて事業者の公募手続きを実施する考えだ。
同事業では、新市場のにぎわい創出を目的に、江東区豊洲6丁目の一部である6街区(1・1f)と5街区(0・6f)に30年間の定期借地権を設定し、民設民営方式で飲食・物販店舗を中心としたを建設・運営する。都が2014年2月に選定した、すしざんまいを展開する喜代村と大和ハウス工業で構成するグループは、6街区に商業・駐車場・温浴棟からなる延床面積3万9500平方bの建物、5街区に同2万6200平方b規模の施設を建設する計画を打ち出していた。
しかし、施設の円滑な運営のための道路利用に関する市場関係者らとの合意が得られなかったことなどを理由に、大和ハウス工業が2月に撤退を決定。喜代村は単独で事業を進める考えで協議を進めてきたが、都が同様に定期借地権を設定して施設運営を委ねている温泉施設との競合などから採算性が確保できないと判断し、辞退することを決めた。
これを受け都は、早急に事業者の公募・選定手続きを始める。16年11月の新市場の開場に合わせて千客万来施設をオープンさせることは困難な状況だが、20年の五輪開催前に集客施設を供用したい考え。