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日本工業経済新聞社(群馬)
2015/04/22

【群馬】倉嶋敬明県土整備部長インタビュー

倉嶋敬明県県土整備部長は22日、群馬建設新聞のインタビューに応じた。道路整備について、知事が進めている7つの交通軸の整備を推進し、県土を面的に整備していくことが今後求められてくる考えを示した。業界に対しては「これまでの慣例にとらわれることなく、新しい発想で業界づくりを進めていただければありがたい」と求めた。
−昨年1年間、技監という重責を担った上で満を持しての就任となった。改めて心境を
倉嶋 技監のときは、部長の方針という命題があり、その中身を良いものにしよう、レベルの高いものをつくろうとしてきた。これからは課題、方針を発信する立場となる。知事の政策を推進するとともに、部の進むべき道を自らが発信しなければならない。非常に重責だと感じている。

−いわゆる「担い手3法」が成立した。建設産業界にどのような影響を与えると考えるか
倉嶋 改正品確法は、工事品質の確保のため中長期的に担い手を育てていかなければならないということを目的としている。改正建設業法も同じで、業界の適正な発展のための制度づくりがうたわれている。改正入契法では、ダンピングの防止などが盛り込まれた。質の良い工事でつくられた構造物は長持ちするし、長期的に維持管理費も軽減できる。今回の改正は、公共事業の本質にとって非常に重要であり、これが第一だ。また、業界の発展には、若手技術者や技能者、後継者の確保、勤務環境の向上、賃金などを含めた将来を見通せる就労環境の整備が求められている。こうしたことを通して、建設産業の発展、ひいては災害時に県民の安全安心を守る業界の基礎がしっかりとできあがる。これがもう一つの重要なファクターだ。

−公共工事設計労務単価の上昇が続いている
倉嶋 上昇、上昇と言われるがピーク時に比べれば低水準。当時の数字には戻っていない。このことを踏まえた上で「担い手3法」とも関連するが、業界に従事する職員の生活が安定し、安心して将来設計を描けるようにすることが前提であるべきだ。今の水準で十分なのか、不十分なのかではなく「市場価格をどう労務単価に反映すべきか」ということが今後の議論になってくるだろうし、求められてくる。

−「7つの交通軸整備」が着実に進み、企業誘致にもつながっている。道路整備はどうあるべきか
倉嶋 県民生活の利便性や県内産業のポテンシャルの向上、企業進出の活性化、避難路・物資輸送路を含めた災害に強い道路確保のためにも「7つの交通軸整備」は群馬県にとってなくてはならない政策だ。知事の提唱する「7つの交通軸整備」は2008年度から進めているが、現在では企業誘致や立地件数が全国でもトップクラス、また観光地も活性化しており、大きな成果が出てきている。今後、さらに群馬県内の潜在能力を高めるためには、軸と連携する交差軸整備が求められると思う。例えば、生活環境や産業、観光にとって一番需要が高いのは高速道路インターチェンジや幹線道路から15分圏内。ここから離れていくと需要が下がってくる。軸だけでは「線」にしかならない。「面」の整備のため、主要箇所の交差軸整備が次のステージだと考えている。県土を足し算でなく、掛け算的に有効活用するためにも面整備を考えていきたい。

−まちづくり室の新設や建築住宅課の分割といった組織改正の狙いは
倉嶋 人口減少社会で増加する空き家対策や、まちなか居住の推進、良好な街並み形成といったことを通して、誰もが安全安心な暮らしを実現し、持続可能な住環境づくりが必要になっている。住宅政策を中心的に担う組織が求められており、専門の住宅政策課を設置した。まちづくり室についても同様。中心市街地の活性化やコンパクトシティ推進のためには、市町村が行うべき政策づくりやそのための整備に向けて、一緒になって研究・計画を行える組織が求められている。市町村も人手不足、技術者不足であり、県が協力していく必要がある。

−部の職員に期待していることは
倉嶋 業務が多様化し、職員が減少する中、一人一人に掛かる負担は以前より多くなっていると感じている。業務多忙であっても、より県民目線で業務を遂行するため、小さな仕事に対しても常に問題意識を持つとともに、新しいアイデアや企画を携えて、さまざまなことに対応できる能力を身につけてもらいたい。

−建設産業界に対するメッセージを
倉嶋 県としても業界が仕事をしやすいような制度設計や技術者、技能者、後継者を確保する支援を行っていく。産学官連携会議を通して、支援しているところであるが、業界としてもこれまでの慣例にとらわれることなく、新しい発想を持った業界づくりを一緒になって進めていただければありがたいと考えている。