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福島建設工業新聞社
2015/04/21

【福島】県土木部/施工者側の意見、設計に反映 不調・不落リスク回避へ

 県土木部は、設計の進行段階で施工者や地質コンサルタントの意見、アドバイスを聴取し設計の成果品に反映させる「設計時施工技術検討会」を制度化。今年度から全県展開する。橋梁・トンネルなど専門的・特殊な判断が必要となる工法や、現場に適した仮設計画の検討が必要となる案件が対象。現場に精通した施工者側が持つ技術力や情報を設計に入れることで、現場実態に合った適切な設計、施工計画の作成が期待される。不調・不落リスク回避など施工確保、受注環境の整備ととともに発・受注者双方の技術力向上につなげる狙いがある。検討の成果は公開し透明性、公平性を担保する。施工技術に関するアドバイザー派遣を受けるため、県建設業協会、県地質調査業協会と覚書を結ぶ。
 県北建設事務所が土木設計で25、26年度試行してきた「所内技術検討会」の仕組みを全県に広げる。同事務所では河川改修に伴う市道橋架替工事3件@1級河川蛭川・町頭橋(福島市瀬上町)A1級河川小浜川・下川西橋(二本松市小浜)B1級河川安達太田川・下田橋(同太田)で検討会を設置。アドバイスを基に、下部工施工時の仮設工について、現場で実際に対応可能な工法等を設計に取り入れるなどの成果が得られた。
 計画・設計の早期段階から施工者が参画するECI(アーリー・コントラクター・インボルブメント)方式と似た手法だが、県の場合、この段階では施工(予定)者は特定されておらず、施工側は当事者ではなくアドバイザーとしての立場での検討会参画となる。発注者と設計を受託したコンサルタントで組織する検討会に、施工者のほか、必要に応じて地質コンサルタントの参集も想定している。
 アドバイザーの派遣依頼を可能にするため同部は、県建設業協会、県地質調査業協会の2団体と覚書を結ぶ。県北建設事務所の試行でも、建設業協会の県北・二本松支部、県地質調査業協会との覚書に基づき派遣を得た。
 対象案件では、設計・施工計画の案ができた段階で検討会を立ち上げ意見、アドバイスを出してもらう。検討会は現地調査を含め複数回が想定される。
 技術検討会開催の対象案件であることは、設計の発注時に特記仕様書等で明示する。アドバイザーは複数の参集を想定、意見の偏りを排除する。アドバイザーには報償費等を支払う。
 制度は28日付で施行する。同日、県庁内で両協会との覚書の調印式を行う。