県安房土木事務所は、国道128号実入バイパスに新設する「(仮称)実入トンネル」を年度内に発注する。県の2015年度予算に実入バイパス建設事業として限度額19億円の債務負担行為が設定され、17年度までの3か年で整備が進められることになった。事業費は、債務負担行為とは別に、社会資本整備総合交付金による当該年度事業費も予定している。
同事業は当初、13年度の当初予算で事業費3億円と限度額20億4000万円の債務負担行為を設定し、13〜15年度の3か年で建設を予定していたが、道路法面の崩落があったことから、トンネルの掘削前に調査を実施。状況を把握したうえで事業に着手することとし、昨年度で事業費を減額するとともに債務負担行為を廃止し、調査を実施していた。
調査は、昨年度で山の現地踏査や既設道路法面の調査を実施した。その結果、4か所で対策の必要な個所が見つかったことから対策を検討し、1か所は取り除き、残りの3か所は固定することにした。
同トンネルは、既存の実入トンネルが老朽化していることや、土砂災害による道路の通行止めなどが発生していることから、道路を迂回させ、新たにトンネルとして整備する計画。トンネルの建設場所は鴨川市実入地先。トンネルは延長約683m、幅10・37mで、道路の総幅員は9・5m(車道3・25m×2、路肩0・75m×2、監査路0・75m×2)。トンネルの高さは、道路面からトンネルの天井までが約6・9m。ナトム工法を予定。
トンネルの実施設計は09年度に完了しているが、年月を経過していることから再積算を行う。実施設計は日本シビックコンサルタント(千葉事務所・千葉市中央区富士見2―15―1)が担当。
国道128号は外房地区の基幹道路で、沿線に亀田総合病院があり、広域的なアクセス道路として重要な役割を担うとともに、災害時の緊急輸送道路ネットワーク(一時路線)にも指定されている。しかし、天津地区と内浦地区を結ぶ実入トンネル付近では、丘陵地が海岸まで接し、道路脇のがけが崩落する危険があり、03・04年度には2年連続して大雨による土砂災害で道路が完全に寸断された。また、トンネルは使用後約50年を経過し老朽化が著しく、前後が急カーブとなっていることから、早急な整備が求められている。
このため、同事務所が09年度から一般国道128号道路改良事業(実入バイパス)として事業に着手し、これまでに用地買収、補償、調査・設計などを進めていた。
事業期間は18年度までの10か年。総事業費約27億円を投入し、実入トンネルと同トンネルの取付道路などを整備する計画。事業の延長はトンネル部を含め約900m。これまでの進捗状況は、13年度末までに事業費約2億9800万円を投入し進捗率11・0%。