建通新聞社四国
2015/04/10
【高知】高知県 宿毛市の長期浸水対策に着手 15年度は海岸堤防の耐震照査など
高知県は、2015年度から宿毛市街地周辺の長期浸水対策に着手する。国土交通省中村河川国道事務所、県、宿毛市、警察、消防で構成する宿毛市長期浸水対策検討会がこれまでに止水・排水対策と住民避難対策の内容と実施スケジュールについて取りまとめた。ハード整備としては、堤防や護岸の耐震補強などを進める計画で、15年度は宿毛湾内の4海岸で地質調査と堤防の耐震照査・設計を進める予定。
各対策については、5年以内に実施する短期、5〜10年後に実施する中期、10年以上後に実施する長期に分け、それぞれスケジュールを示している。
このうち、堤防・護岸の機能強化に向けては、堤防・護岸の耐震補強、水門・ゲートなどの補強、排水路などの止水対策を進める。短期では宿毛エリアと新田・高砂エリア(松田川右岸など)で完了、中期では片島エリアと深浦エリアの海岸堤防などで完了、長期ではその他の区間を順次完了させる計画。
15年度は、松田川大橋より下流部にあたる新田、宿毛湾港、大島漁港、大深浦の4海岸を対象に耐震照査を外注、堤防の断面などを調査する。そのほか地質調査や設計を外注し、対策工法などを決める。現況の堤防高さは2・7〜3・2b。15年度当初予算では、これらの委託料として6120万円を計上している。
このほかの止水・排水対策では、排水機場の地震・津波対策として、短期で停電・燃料対策と被災後の早期復旧のための事前準備、長期で優先度を踏まえた耐震・耐水化を進める。対象は宿毛排水機場、高砂ポンプ場、宿毛ポンプ場の3カ所。 発災直後の速やかな道路啓開・航路啓開の実施については、短期で実施対策の構築をし、短〜中期で資機材の備蓄・保管・調達を行う。
長期浸水に備えた道路の整備では、国交省が中村宿毛道路の平田IC〜宿毛IC(延長7・6`)を19年度に開通させる計画で工事を進めており、長期で四国横断自動車道宿毛〜内海の手続きに着手する。
これ以外に、止水のための緊急復旧体制の確保、排水ポンプ車の確保、止水資機材の確保・備蓄、応急ポンプの確保を各機関が連携して進める。これらの対策により、現況で排水完了まで42日かかると想定されているのが、短期で35日程度、中期で30日程度、長期で17日まで短縮されると見込んでいる。並行して住民避難に向けたソフト対策も行っていく。
宿毛市の中心市街地周辺は、最大クラスの地震が発生した場合、現状では堤防の大半が満潮時の海面より低くなり、長期浸水が発生するとされている。