建通新聞社(東京)
2015/04/10
【東京】都 谷沢川分水路と境川中流第二調節池で基本設計
東京都建設局は、谷沢川分水路と境川中流第二調節池の新設に伴う基本設計作業を開始する。いずれもプロポーザル方式で設計者を特定する方針で、谷沢川は6月ごろ、境川については10月ごろ手続きを開始する。
多摩川水系の谷沢川は、世田谷区桜丘4・5丁目付近の湧水を水源に同区中町や等々力(等々力渓谷)を流れ、野毛付近で丸子川と交差した後、玉堤で多摩川に合流する延長3・7`。時間雨量50_への対応として、河道の拡幅や掘削など河道断面を広げることを中心に整備を進めてきたが、密集市街地で用地取得が難しく、事業が完了しているのは等々力渓谷から下流域で、進捗率は約3割にとどまっている。
近年の集中豪雨の多発により、谷沢川流域でも浸水被害が発生していることから、都は時間雨量75_に対応する河川整備を進める方針を固めるとともに、事業効果を早期に発現させるため、道路など公共空間の地下を利用した分水路を新設し、洪水の一部を分流して流下能力を高めることにした。
上流域からシールド工法でトンネルを構築する方式で分水路を整備する考えで、8月ごろ委託する基本設計業務の中でルートや構造、立坑の設置場所、施工スケジュールなどを固めていく。設計に先立ち7月に地質調査業務と測量業務を別途委託し、その成果を設計に反映させる。
一方、境川は町田市相原町大戸を水源に東京都と神奈川県境に沿って南東に流れ、同県内を南下して相模湾に注ぐ延長52`。都区間では時間雨量50_に対応する河川改修を進めているが、より安全性を高めるため整備目標を65_に引き上げ、50_を超える部分の洪水を調節池で対応する。
中流域に2カ所の調節池を配置する考えで、このうち1カ所は町田市金森6丁目(西田スポーツ広場、敷地面積は約1万7000平方b)に配置する。地下にコンクリート造の貯留槽を配置し、平常時は上部の広場を利用できるようにする。施設容量は約15万立方b。2014年度に基本設計を開始した。
境川中流第二調節池はこの上流域に配置する。同様に公共用地を活用して地下に洪水を引き込む形式を想定しており、用地の利用に関する協議を進めた上で、12月中旬をめどに基本設計業務を委託。構造や形式、容量などを固めていく。7月に先行して測量業務を、12月に地質調査業務をそれぞれ委託する。