建通新聞社(東京)
2015/04/08
【東京】都 青海客船ターミナル新築で基本設計
東京都港湾局は臨海副都心・青海地区への客船埠頭新設で、ターミナルの設計作業に着手する。4月中にもプロポーザル方式による設計者の選定手続きを開始して6月に業務を委託する見通しで、2016年6月末の納期で実施設計をまとめる。並行して岸壁など土木構造物の実施設計作業も進め、15年度末に防波堤や連絡通路の整備工事を発注する方針だ。
20年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催を契機として、大型クルーズ客船が接岸できる新たな埠頭を13号地北側区域(江東区青海2丁目地内)に建設する。既存の岸壁の前面に、桟橋形式で延長430bの岸壁を整備するとともに、1日当たり最大約8900人(年間約6万6000人)が乗降可能な旅客ターミナルを新築する。
ターミナルは、空港と同様に税関・出入国管理・検疫(CIQ)といった機能の他、利用者の利便施設などを配置。2階に到着ロビー、3階にチェックインロビーを設けることを想定している。今後委託する基本設計業務の中で建物の構造や規模、機能配置などを固めていく。年内に成果を得て実施設計に移行し、16年度にも工事を発注する。
一方、客船を接岸するための岸壁は桟橋形式とし、既存の岸壁の前面に延長430b(うち240bが耐震岸壁)、幅30b、水深11・5bの規模で新設する。この岸壁につながる延長260bの防波堤と、13号地から突き出す延長260bの防波堤をそれぞれ配置。さらに、新たな岸壁と防波堤に囲まれた区域内に、13号地と接続する3基の小型桟橋や客船からの乗降用施設を建設し、前面の海域(泊地)を浚渫する。
基本設計はニュージェック(江東区)が担当しており、引き続き同社に実施設計を委託して16年度末までに成果を得る。
15年度は桟橋本体工に先立ち、防波堤の本体・上部工事を2件に分けて発注する。いずれも年内に一般競争入札を公告して16年3月に契約するスケジュールを想定している。
これらの作業と並行し、都道482号(台場青海線)と新たな耐震岸壁を結ぶ連絡通路の整備や既設桟橋の撤去、南極観測船「宗谷」の移設に伴う設計も進めて工事を発注する。
連絡通路は都道に沿った延長110bの陸上部と、船の科学館の前面の海上部に架設する橋長360bの橋梁部で構成する。幅員11・5bの2車線。橋梁は南極観測船宗谷の係留桟橋を跨ぐ格好とし、既設の二つの桟橋(水産庁有明桟橋、航海訓練所有明桟橋)を撤去する。基本設計を担当している日本構造橋梁研究所(千代田区)で実施設計を進めた上で、連絡通路の工事を陸上部1件と橋梁部2件の3件に分割して発注する。年内に一般競争入札の手続きを開始し、16年3月に開札して施工者を決める。
宗谷の移設に伴う基本・実施設計については6月中をめどに委託し、技術実績評価型総合評価方式を採用した希望制指名競争入札で年内に工事発注する。