トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建通新聞社(東京)
2015/03/27

【東京】都 下流側盛土で村山上貯水池を補強

 村山上貯水池(東村山市)の堤体強化の方法を検討していた東京都の有識者会議(委員長・大町達夫ダム技術センター顧問)は、「下流の村山下貯水池側に盛り土をすべき」とする提言をまとめた。工事期間中も村山上・下の両貯水池の機能を確保しつつ、構造的な信頼性が高く施工実績も多い「抑え盛土工法」を採用すべきとの内容。都水道局では今後、この提言内容を基に、日本工営(千代田区)で進めている基本設計を詳細設計に移行させ、2016年度に準備工事に着手したい考えだ。
 村山上貯水池は、埼玉県との境にある狭山丘陵(東大和市多摩湖6ノ2226)に都が1924年に建設した。堤体は堤高24・2b、堤頂長318・2b、堤頂幅6・8b、堤底幅163・6bのアースフィルダム。羽村取水堰で取り入れた多摩川の水を298万3000立方b貯留できる。関連施設として取水塔(外径7・8b、内径4・8b、高さ27・5b、毎秒12・5立方bを取水)、取水塔管理橋(橋長48・7bの2径間トラス橋)を設置している。
 12年度に首都直下地震などを想定した耐震診断を実施した結果、貯水機能は損なわれないものの、堤体上部の沈下や斜面の滑りによる変形が生じる可能性があることが分かったため、発生頻度は極めて低いものの甚大な被害が想定される「レベル2」地震動が起きても貯水機能を維持でき、損傷が生じても修復可能な範囲に収まるよう、堤体を強化することを決めた。
 検討委員会では、村山上・下の両貯水池が工事期間中も貯水機能を確保することを前提に、堤体強化工法として「構造的な信頼性が高く、施工実績も多い抑え盛土工法」を提案。盛り土は村山下貯水池(下流)側に行うこととし、既設堤体の抑え盛り土の強度が低いためいったん撤去し、砕石と砕砂を混合して強度を高めた上で再利用する方向を示した。
 水道局は今後、この提言を踏まえ詳細設計作業に入り、盛り土の規模や施工手順などを固めていく。現段階で堤体強化に必要な盛土量を約20万立方bと見込んでいる。15年度中に詳細設計の成果を得て、16〜17年度の2カ年で大型車両の搬入路や、シートパイルによる村山下貯水池の仮締め切りといった準備工事を実施。18〜23年度で補強工事を実施する考えだ。