「家畜伝染病発生時における防疫対策業務に関する協定」の締結式が25日、千葉市内のホテルプラザ菜の花で開かれ、県農林水産部と業務協定を締結する(一社)千葉県建設業協会の双方を代表し、橋渡副知事と鈴木雅博会長がそれぞれ協定書に調印、締結を取り交わした。この業務協定は、急性悪性家畜伝染病発生時の迅速かつ円滑な防疫対応を確保し、畜産業の被害の低減に資することを目的とするもの。対象となるのは、家畜伝染病予防法第2条で定める家畜伝染病のうち、「口蹄疫」「高病原性鳥インフルエンザ」「低病原性鳥インフルエンザ」及び県が必要と認める家畜伝染病。千葉県建設業協会では、@殺処分家畜・家きん等の運搬作業A積み込み、積み降ろし作業B埋却等作業――を担当する。
家畜伝染病発生時の要 この日の締結式には、県から橋副知事をはじめ麻生恵・農林水産部長、宮内常吉・県土整備部災害・建設業担当部長、松木英明・畜産課長が出席。同じく協会側からは、鈴木会長をはじめ、副会長の阿部典義氏、式田秀穂氏、高橋順一氏、畔蒜毅氏、石井良典氏、小宮山房信氏が出席し、協定の締結に立ち会った。
協定書の調印に引き続き橋副知事は、この日の防疫対策業務に関する協定の締結に至ったことに対して「大変嬉しく、ありがたく思う」と述べたうえで「鳥インフルエンザなどの家畜伝染病が一旦発生してしまうと、消毒作業に伴う交通遮断などにより、畜産業界のみではなく、地域経済や県民生活にも大きな影響を及ぼす」と指摘。「このため発生時には、消毒や感染家畜の処分などを迅速に実施することが極めて重要だ」との考えを示すとともに、県では「発生に備え、普段から人員の確保や資機材の準備をしているが、貴協会のみなさんの力を借りなければ、円滑な防疫活動により、万一の発生時に速やかに伝染病を終息させ、被害を最小限に食い止めることは出来ない」と強調。今回の協定締結によって、本県の防疫対策の一層の充実が図られることに対しては、「大変心強く感じられるこの思いの根源として、改めて協会のみなさんに感謝するとともに、今後とも本県の家畜伝染病の防疫対策に協力願いたい」と要請し、あいさつとした。
殺処分家畜等の運搬や埋却など「家畜伝染病発生時における防疫対策業務に関する協定」は、昨年3月28日に(公社)千葉県獣医師会、千葉県農業共済組合連合会、(一社)千葉県ペストコントロール協会、(一社)千葉県塗装工業会、千葉県動物薬品器材協会、NPO法人コメリ災害対策センターの6団体と締結。その時点で国内の口蹄疫や鳥インフルエンザは、2013年3月を最後に発生していなかったが、本年度は国内5県8農場で高病原性鳥インフルエンザが発生し、約46万8000羽が殺処分された。
家畜伝染病発生時の防疫業務は、「発生農場対策」と「周辺対策」に大別される。発生農場対策は、@飼養家畜の殺処分作業(家畜伝染病の感染源となる飼養家畜の全頭殺処分)A殺処分家畜及び汚染物品等の焼埋却作業(殺処分家畜及び飼料、ふん等の汚染物品を焼却・埋却)B農場の清掃・消毒作業(残存する家畜伝染病のウイルスを消毒)――に分かれる。本県の場合、この際の「家畜の殺処分作業」は(公社)千葉県獣医師会と千葉県農業共済組合連合会が担当する。
同じく「周辺対策」は、@通行遮断、移動制限区域、搬出制限区域の設定(家畜伝染病のまん延防止のため制限区域内の家畜、物の流通、交通を制限)A周辺農場検査の実施(制限区域内にある他農場の発生の有無、清浄性を確認)B消毒ポイントでの車両等消毒の実施(制限区域境界に消毒ポイントを設置し、24時間体制で通行する車両を消毒)Cワクチン接種及び予防的殺処分(口蹄疫の拡大が懸念される場合には、国の判断により周辺農場にワクチン接種。口蹄疫ワクチン接種した家畜の殺処分)――に分かれ、この際の「車両の消毒」を(一社)千葉県ペストコントロール協会と(一社)千葉県塗装工業会、「ワクチン接種・殺処分作業」を(公社)千葉県獣医師会と千葉県農業共済組合連合会が行い、これらを通じた「必要物資の供給」を千葉県動物薬品器材協会とNPO法人コメリ災害対策センターが担当する。
今回、(一社)千葉県建設業協会が締結した防疫対策業務の内容は、これらの根幹をなすものとして、県民の期待を一身に集める。