第8回目となる千葉市本庁舎整備検討委員会(委員長・柳澤要千葉大学大学院工学研究科教授)が19日に開かれ、基本計画案について取りまとめた。国土交通省の算定基準に基づき庁舎規模を延べ5万uとし、新庁舎の整備の方向性を示すとともに、新庁舎の配置場所により3つのモデルプランとモデルプランごとの概算事業費を示した。このうち概算事業費については、各プランで若干の違いはあるものの、約298億円(消費税8%で算定)とした。今後、4月にもパブリックコメントの手続きを開始し、来年度の早い時期に基本計画を決定したうえで、事業手法検討調査に着手する。
現本庁舎、中央コミュニティセンター及びポートタワーに分散している庁舎機能を、現本庁舎敷地内に建設する新庁舎に集約するのが基本的な考え方。これまでに策定した基本構想では、基本理念とともに、@将来の変化への柔軟性の確保A通常業務の遂行性の確保B非常時の業務継続性の確保を、本庁舎のあるべき姿とした。
基本計画案では、基本構想における基本理念や本庁舎のあるべき姿に基づき、新庁舎全体に求められる機能を整理した。
「将来の変化への柔軟性の確保」を実現するための機能としては、@可変性(自由なフロアレイアウトに配慮した庁舎、執務室利用の効率性に配慮した庁舎)A変化への対応性(将来の機能転換に対応できる庁舎)B保全性(設備機器等の更新が容易な庁舎、日常の維持管理が容易な庁舎)C経済性(ライフサイクルコストに配慮した庁舎)を挙げた。
また、「通常業務の遂行性の確保」を実現するための機能としては、@利便性(来庁者の用務に配慮した庁舎、多様な利用者に配慮した庁舎)A機能性(働きやすく業務効率性の向上に配慮した庁舎、組織変更や職員数の増減に柔軟に対応できる庁舎)B環境先進性(再生可能エネルギー等を活用し環境負荷を抑えた庁舎、通常時・非常時に機能する環境配慮型の庁舎)C防犯性(セキュリティに配慮した庁舎、事故等の未然防止に配慮した庁舎)を挙げた。
「非常時の業務継続性の確保」を実現するための機能としては、@災害安全性(津波・高潮等の水害リスクに対応した庁舎、地盤リスクに対応した庁舎)A耐震安全性(構造体の耐震性を備えた庁舎、設備等の耐震性を備えた庁舎)B防災拠点性(非常時の司令塔としての機能を担う庁舎、非常時用の諸室・設備の通常利用に配慮した庁舎、地域防災力の向上に配慮した庁舎)C業務継続性(非常時に必要となる電力等を確保できる庁舎、非常時に必要となる食糧等を確保できる庁舎)を挙げた。
これを踏まえて、機能別整備方針を示すとともに、敷地の有効活用等も考慮して、3つの建物配置案に沿って、新庁舎のモデルプランを示した。
モデルプランのケース1は千葉銀行側、ケース2はプロムナード側(モノレール駅と現本庁舎との間)、ケース3はみなと公園側に配置する案。建物配置の自由度、屋外スペースの確保、モノレール駅からのアクセス、国道からのアクセス、将来の余剰地活用の可能性、建物利用の点から、それぞれの特徴を述べているが、建物性能そのものには違いはないとしている。
建物規模は国土交通省の算定基準に従って延べ床面積を5万uと想定。敷地は現在の土地の約半分、2haを新庁舎の敷地に充てるとした。
モデルプランごとの事業費は、ケース1が298億7800万円(調査・設計費6億3400万円、建設工事費244億7000万円、その他工事費13億3200万円、移転関係費12億2900万円、消費税22億1300万円)。
ケース2が297億7700万円(調査・設計費6億3400万円、建設工事費244億5000万円、その他工事費12億5800万円、移転関係費12億2900万円、消費税22億600万円)。
ケース3が298億1000万円(調査・設計費6億3400万円。建設工事費244億6000万円、その他工事費12億7900万円、移転関係費12億2900万円、消費税22億800万円)。
建設工事費の違いは、場所による地盤改良工事費の差。また、その他工事費の違いは、モノレール駅からのアクセス距離の違いによるデッキ工事費等の差。
基本計画案ではこのほか、事業手法について直接施工方式、官民連携手法(DB方式、DBO方式、PFI方式)に分け特徴を整理しているが、具体的には来年度に行う事業手法検討調査の結果をを踏まえて決定する。