建通新聞社(東京)
2015/03/19
【東京】都 設計・積算と入契制度の緊急対策検討へ
東京都は、建築工事や設備工事での入札不調の高止まりと土木工事での急増を受け、設計・積算や入札・契約制度について全庁的な緊急対策の検討を開始する。18日に開かれた都議会財政委員会で木村基成氏(都議会自民党)の質問に中井敬三財務局長が答えた。
都は入札不調の増加を受け、さまざまな対策を講じているものの、2014年度の入札不調の発生率は建築工事で22・1%、設備工事で4・1%、土木工事で16・1%となっている。前年度同期と比べ、建築と設備の発生率は若干改善傾向にあるものの、都発注案件の半数を占める土木工事は増加傾向にあるという。14年度第3四半期(10〜12月)については、上半期に比べて全体の不調発生率が2・4ポイント増の17・5%に達し、特に知事部局が発注する案件に限れば5・9ポイント増の16・9%と大幅に増えている。
金額帯で見ると、予定価格が4億円未満で最低制限価格制度の適用案件では2・5ポイント増の15・6%、4億円以上で低入札価格調査制度の対象案件は9・1ポイント増の21・8%になっている。
都は不調が増加している低入札価格調査制度の適用案件について「調査対象事業者が予定している受託契約や従事者の労働条件などが適切かどうか、契約前の段階で実効性の高い調査を行うには制約がある。調査結果の事後検証の仕組みもなく、工事の履行の確保を判断する材料が、調査対象者から提出された積算内訳書で行うしかないなど、改正品確法を踏まえた対応としては発注者・受注者の双方にとって課題がある」(松永哲郎契約調整担当部長)と分析。運用方法の見直しも含め検討していく考えを示した。
木村氏は「民間工事と競合しない土木工事で不調が増加しているのは、これまでと傾向が変わってきている。公共事業を執行する上で憂慮すべき事態だ」と指摘。今後の対応を確認した。
これに対し中井局長は、入札不調の現状を「深刻な状況であり、全体としてさらに厳しい状況になりつつある」と述べた上で、「構造的な環境変化を見据えつつ、喫緊の課題に的確に対処するための手立てを迅速・大胆に講じる必要がある」と答弁。設計・積算や入札・契約制度に関して「全庁的な緊急対策をただちに検討していく」との考えを示した。