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建設新聞社(長崎)
2015/03/17

【長崎】長崎県が4月1日から一般管理・現場管理費率引き上げ

(鹿嶋)建産連要望の様子 県は、2015年度から土木工事積算基準を見直し、国の直轄工事と同様に一般管理費率や現場管理費率を引き上げる。長崎県建設産業団体連合会(谷村隆三会長)が16日に行った、建設産業の育成・発展についての県知事要望の席で、中村法道知事が明らかにした。4月1日以降に入札公告・指名通知する工事から適用する。見直しにより、一般管理費等は平均で20%、現場管理費は平均で5%それぞれ増加することになるという。


(鹿嶋)中村知事(鹿嶋)谷村会長


 建産連の谷村会長は中村知事に対し「(政権交代や国土強靭化基本法の成立などにより)仕事量は増加しているものの、14年の県内企業の完成工事高営業利益率は0・88%と利益が無いに等しい」と窮状を訴えた。その上で、改正された公共工事品確法の運用指針が掲げる『企業の適正な利益』や『従業者の適正な就労環境』の確保に向けた入札制度などの改善を求めた。ただ「これらの効果発現には多大な時間を要する」ため、救済措置として最低制限価格を暫定的に引き上げることを要望。併せて、改正品確法の基本理念と発注者責務を果たすために、国土交通省が積算基準を見直した事に触れ、迅速な対応を県に期待した。
(鹿嶋)知事の要望書を手渡す谷村会長(左)

運用指針の義務化事項 県では9割を実施済み



 これを受け中村知事は、改正品確法の運用指針で発注者に義務付けている114項目(努力事項含む)のうち、県では既におおむね9割で実施済み(今回見直したものも含む)であることを説明。残る項目についても、国の状況を踏まえながら早急に検討を進める。さらに「まずは、予定価格の適正な設定が求められる」とし、設計労務単価・資材単価の適正な反映とともに、国と同様に一般管理費率・現場管理費率を引き上げることを明言。併せて、間接工事費の市街地(DID)補正も、共通仮設費で1・3倍、現場管理費で1・1倍にする。今後も国の動向に迅速に対応し、適正な予定価格の設定に力を注ぐ方針だ。

 一方で、最低制限価格の引き上げについては、「最低制限価格の設定目的は工事品質の良好な確保。現状を見ると、良好な水準で確保されている」との認識を提示。大型案件での算出方法は見直すものの、価格自体の引き上げは難しいとした(最低制限価格の見直しの詳細は後日掲載予定)。
 建産連ではこのほか、▽社会資本整備・維持管理に必要な事業予算の持続的な増額確保▽県内企業・資材の優先使用▽技術者・技能者の後継者育成のための業界取り組みへの支援拡充―を要望。
 このうち、県内企業・資材の優先使用では、特に設計業務などの県外企業向け発注案件について、県内企業への技術移転や技術力向上を図るためJVによる発注を要望。県内資材の使用では、使用状況の確認強化を求めた。後継者育成に対する支援に関しては、若手技術者・技能者の資格取得への支援や、県立高等技術専門校などでの教育の拡充を訴えた。
 これらの項目については、県側も積極的に対応していく姿勢を示した。
ksrogo