建通新聞社(東京)
2015/03/03
【東京】都 第2次主要施設10カ年維持更新計画を策定
東京都財務局は「第2次主要施設10カ年維持更新計画」を策定した。2009年度に策定した現行計画の基本的な考え方を踏襲しつつ、長寿命化に関する具体的な取り組み手法を盛り込むとともに、都有施設の目標使用年数を「65年以上」に設定。15〜24年度の10カ年で365施設、一般会計で管理する施設の31%に当たる総延床面積約300万平方bの改築や改修を進めていく方針を打ち出した。概算事業費として総額7500億円を見込んでいる。
新たな計画では、1960年代後半から90年代後半までに集中して建設してきた都有施設の躯体や設備の経年劣化に適切に対応していくため、@安全・安心の確保A環境負荷の低減B将来コストの縮減C利便性の確保D都有財産の効率的・効果的な活用―の五つの視点から維持更新を進めていく考えを明記した。
計画の推進に当たり▽長寿命化の推進▽行政施策を反映した施設整備の推進▽施策連動型財産利活用の推進―の3点を掲げた。
長寿命化の取り組みでは「施設整備上の工夫」として、設計や施工段階でさまざまな工夫を凝らすこととし、「適切な維持管理と保全の実施」に向け、劣化の程度が軽微な段階で修繕を施す“予防保全型維持管理”を積極的に展開。多様な整備手法を検討・適用し、その結果を保全計画に反映する。
併せて、対象施設の劣化状況や建築物の特性を踏まえて「最も適切な維持更新手法」を検討。さらに、今後の都有施設の目標使用年数を「65年以上」に設定する。記念性や文化性、芸術的価値のある施設はさらに長期的な使用を目指す一方、施設の劣化状況や用途の変更などにより長寿命化に適さない建物は原則として改築する。
行政施策を反映した施設整備については、施設の用途や規模などに応じて必要な防災対策を着実に進めるとともに、14年度にまとめた新たな「省エネ・再エネ東京仕様」を全面的に適用して環境負荷の低減と将来コストの縮減につなげる。民間が開発する新技術も積極的に採用する。
施策連動型財産利活用として、各種施設の合同化や定期借地権の設定、行政財産の貸し付けなど都の施策と連動させた取り組みを加速する。
対象施設は、▽築35年を経過し延床面積3000平方b以上▽築10年を経過し延床面積1万平方b以上▽維持更新が特に必要な施設―の観点から365件を抽出。築年数が古い建物は改築、浅い建物は設備の改修を中心にそれぞれ維持更新手法を検討することとし、世田谷都税事務所や監察医務院、町田消防署などを改築の対象に、豊島合同庁舎や東大和療育センター、立川防災施設などを改修の対象に位置付けた。
計画期間内の概算事業費は、第T期(15〜18年度の4カ年)が3300億円、第U期(19〜21年度)が1900億円、第V期(22〜24年度)が2300億円と試算している。