建通新聞社(神奈川)
2015/02/20
【神奈川】神奈川県と流域6市 引地川流域水害対策計画(案)を策定 総合的な浸水被害対策
神奈川県と藤沢市、茅ケ崎市、大和市、海老名市、座間市、綾瀬市−は共同で引地川流域水害対策計画(案)を策定した。河川、下水道の管理者、地方公共団体、流域住民などが連携し、総合的な浸水被害対策に取り組むための計画。河川整備計画にも盛り込まれた上流側への新たな遊水地の建設計画などを推進する。3月20日まで県民意見を求めた後、2015年度早期の計画化を目指す。
現状の課題は、「流域」で、流域からの流出量増加に対応した雨水貯留浸透施設の整備など。「河川」で、時間雨量50_降雨対応の河川整備を実施中だが護岸の整備率が、蓼川を含めて7割程度と進捗が遅いことなど。「下水道」で、雨水貯留施設や雨水幹線等の整備を実施中で、十分な雨水排除ができない状況にあることなど。
浸水被害対策の基本方針は、@河川整備及び下水道整備の推進A雨水貯留浸透施設整備の推進B保水・遊水機能の保全C雨水浸透阻害行為の規制等による流域流出量の抑制D流域対策の推進E浸水被害拡大防止対策の推進F継続的なモニタリング。
流域水害対策計画の対象区域は、引地川特定都市河川流域全体。計画の対象期間は概ね30年。対応目標となる降雨は時間雨量約60_。都市浸水の発生を防ぐべき降雨は、市によって異なり、時間雨量48〜60_。
特定都市河川の整備は本年1月決定の「引地川水系河川整備計画」に基づく。
県は現在、藤沢市下土棚で下土棚遊水地の建設を進めているが、1時間降雨60_に対応するため、この上流側(蓼川合流点〜福田8号橋間)への新たな遊水地を建設する。建設場所や容量、建設時期などは未定。今後計画の具体化を図る。
この他は従前の計画を引き継ぎ、60_対応を実現するための河道整備などを進める。
主な整備計画は、▽引地川河道整備他(河口〜新道下大橋)=護岸工、河道掘削工、橋梁架け替え等▽引地川下土棚遊水地整備▽長寿命化対策(大庭遊水地排水樋門等)▽蓼川河道整備他(引地川合流点〜県管理上流端)=護岸工、河道掘削工、橋梁架け替え等。
特定都市下水道の整備は、各市で都市浸水防止の目標降雨時に下水道施設(吐き口やポンプ場)から河川へ放流する流出ピーク量(河川に放流可能な流出量)を定め、ピーク量を超える雨水については、「下水道貯留施設」で貯留するとした。
特定都市下水道のポンプ施設については基本的な運転操作のルールを定め、運転調整する際の連絡・指揮体制や情報共有のための体制を確認する。
浸水被害が発生した際の被害拡大を防止するための措置としては、@防災情報の事前周知A都市洪水想定区域の指定B都市浸水想定区域図作成C内水被害を考慮したハザードマップ作成D広報・防災教育−を挙げる。
これらの計画に基づき、河川管理者、下水道管理者、地方公共団体でモニタリングを実施して対策の進捗状況などを把握する。