建通新聞社四国
2015/02/20
【高知】高知県15年度予算案 7年連続増
高知県は2月17日、2015年度当初予算案の概要を発表した。一般会計の総額は4584億5200万円で、対前年度当初より57億5100万円、1・3%の増加。7年連続で対前年度予算を上回る。このうち普通建設事業費は1000億0400万円で、同比7億0500万円、0・7%の増加となった。普通建設事業費が1000億円を超えるのは11年ぶり。経済対策分の補正予算額を合わせた実質の普通建設事業費は1083億円となり、前年の当初と補正を合わせた額より4億円増えた。2月定例議会は23日に開会し、3月19日までの会期で行われる。
15年度予算案のポイントについて尾ア正直知事は「人口減少による負のスパイラルに対し、それぞれの課題に正面から取り組む」ことを挙げている。国のまち・ひと・しごと創生関連予算を積極的に活用し、課題解決先進県を目指した力強い取り組みを推進するため、これまでと同様に、「インフラの充実と有効活用」「南海トラフ地震対策の抜本強化・加速化」など5つの基本政策と、それらに横断的にかかわる政策を重点的に進める方針だ。
インフラの充実と有効活用のポイントについては、「県民の安全安心の確保と地域経済の活性化」「事前防災・再度災害防止対策を加速化」「新図書館など大規模建築事業について着実に推進」の3点を挙げている。このうち道路では、四国8の字ネットワークの整備を最優先課題と位置付けて促進するほか、災害に強い道路を目指すための国道の改築、橋梁の耐震化、道路の法面対策と、地域の基幹産業や県民の生活を下支えする1・5車線的道路整備を着実に推進する。主な事業・箇所の予算は、四国8の字ネットワークを構成する道路事業29億1800万円、浦戸大橋など緊急輸送道路の橋梁耐震化21億3300万円、国道493号奈半利〜北川など緊急輸送道路の法面防災対策11億5000万円、国道197号野越バイパスなど緊急輸送道路の改築66億4600万円など。
河川・海岸・港湾では、昨年8月の豪雨により浸水被害が発生した宇治川・日下川流域の再度災害防止対策、浦戸湾内の河川の堤防耐震化や水門・排水機場の耐震・耐水化といった地震・津波対策の推進、高知市と周辺の河川・海岸堤防の地震・津波対策の加速化、重要港湾3港(高知港、須崎港、宿毛湾港)の防波堤整備の推進と防波堤の粘り強い化の推進などに取り組む。主な事業・箇所の予算は、河川における再度災害防止対策11億4000万円、鏡川堤防耐震化対策など浦戸湾内における地震・津波対策加速化17億8500万円、本江田川排水機場など水門・排水機場の耐震・耐水化対策6億8000万円、十市前浜海岸、宇佐漁港海岸など県管理海岸での地震・津波対策11億3300万円、高知海岸の国直轄事業を活用した堤防の耐震化67億2700万円、高知港、宿毛湾港での防波堤延伸による港内の静穏度確保17億円、高知港、須崎港での防波堤の粘り強い化28億5000万円。
治山・砂防では、昨年8月の豪雨などで被災し、被害が拡大した森林についての復旧治山・地すべり対策を推進し、いかなる土砂災害(山津波)からも犠牲者を出さないよう、ハード・ソフト対策を一体的に推進する。主な新規・拡充施策は、山地治山事業が室戸市白壁ほか28カ所で13億円、山地防災事業費が北川村長山ほか42カ所で12億9100万円、治山等激甚災害特別緊急事業が大豊町安野々ほか13カ所で6億4200万円、砂防関係施設の継続的な整備が砂防24カ所、急傾斜地66カ所、地すべり12カ所で24億6900万円。
そのほか、新図書館や新資料館などすでに着手している大規模建築事業について着実に推進するほか、既存インフラの有効活用と長寿命化を進める。主な新規・拡充施策は、トンネル、ダム、砂防、海岸の長寿命化計画策定1億2200万円、道路の長寿命化計画などに基づく継続的な施設点検4億1900万円、道路、港湾の点検結果に基づく計画的な修繕24億1100万円。
また南海トラフ地震対策の抜本強化・加速化には、対前年度比37億円増の399億円を計上している。主な新規・拡充施策は、各自治体が整備する津波避難タワー、避難路、避難場所の整備を支援する津波避難対策等加速化臨時交付金21億6000万円、2市町の保育所の高台移転に向けた支援3億1300万円、土砂災害(山津波)対策のさらなる強化47億4700万円。