静岡県交通基盤部は、社会資本長寿命化行動方針に基づくインフラ施設の長寿命化に取り組んでおり、2014年度末までに水門・陸こう、港湾(係留施設)、漁港(係留施設)、農業水利施設の4工種で中長期管理計画を策定する予定だ。また、これまで優先的に取り組んでいる12工種に、砂防・地すべり施設など16工種を加えた計28工種の長寿命化の取り組みに関するロードマップを新たに策定した。
県は、こうした長寿命化の取り組みを進めるため、社会資本長寿命化推進委員会を開催し、各工種の進捗管理や情報交換を行っている。1月に開催した委員会では、14年度の成果と15年度の取り組み方針をまとめた。15年度の方針としては、@統合的なデータベースの構築AICT技術を活用したモニタリング(点検など)技術の試行Bメンテナンスエキスパート(ME)制度に向けた取り組み−などを掲げ、新たにプロジェクトチームを立ち上げ、取り組みを推進していく予定だ。
社会資本長寿命化行動方針は、県が社会資本の機能や役割を次世代へ適確に継承するため、維持管理・運営の考え方を示したもの。この方針に基づく中長期管理計画では、各工種の維持管理目標に沿った具体的な点検や補修・更新の時期、内容を示し、県では計画に沿って点検や補修に取り組んでいる。すでに策定済みの3工種に加えて14年度は4工種を策定する予定で、優先的取組対象施設の12工種は16年度までに策定を完了する予定となっている。
主な工種の取り組み状況を見ると、舗装では延長2685`全ての路面性状調査を本年度完了し、現在、予測式の検証を行っている。橋梁では、管理する3179橋全ての橋梁点検(2巡目)を昨年度完了しており、本年度は道路法などの改正に伴い橋梁点検マニュアルを改定し、3巡目の橋梁点検に着手している。また、舗装、橋梁ともに、16年度の完了を目指し、劣化の著しい施設について道路施設長寿命化緊急対策を進めている。
今後は、16工種についても新たに策定したロードマップに沿った取り組みを進める。
15年度の取組方針のうち、ICT技術の活用では、橋梁点検の近接目視などに対応するため、ロボットや新技術を使った点検や劣化診断などのモニタリング技術の試行を検討する。ME制度については、インフラ施設の点検や適切な診断をする人材育成のため、他県の取組事例を参考にしたメンテナンスエキスパート制度の導入を検討する。
一方で、県は市町の長寿命化の取り組みに対し、人材支援・計画策定などの支援をするための窓口「社会資本長寿命化・市町サポート窓口」を設けている。
問い合わせ先−静岡県建設技術監理センター技術支援第2班・電話054(268)5004
(2015/2/16)
建通新聞社 静岡支社