建設業労働災害防止協会千葉県支部は6日、安全管理活動の充実を誓い、1年の工事無災害を願う「安全祈願」として、香取市内の香取神宮で参拝した。神前において「労働災害防止と安全確保」を願うとともに、建災防千葉県支部役員らが、労働災害防止活動に真摯に取り組むことを誓ったもので、この日は尾頭支部長をはじめ、各副支部長、常任理事ら各分会長のほか、労働行政側から千葉労働局の局長、健康安全課長など総勢19人が出席。
参拝後の直会の席であいさつした尾頭支部長は、「香取神宮の本殿でこの1年間の安全祈願を滞りなく執り行い、荘厳な雰囲気の中で私ども建災防千葉県支部として、特に重篤な労働災害の絶滅への誓いを新たにした」と述べたうえで、建設業での死亡災害が前年比8件増の25件となったことを「大変残念な結果」と断じた。
昨年は「建機」と「交通事故」災害
また、一昨年に77%を占めた墜落災害による死亡災害が、昨年は36%に半減した一方で、同じくゼロだった「建設機械等」による死亡災害が昨年は5件発生し、うち4件が会員。交通事故も一昨年の1件から、昨年は6件(建災防会員は1件)と大幅に増加したことに対して「本年はこれらを踏まえ、三大災害の撲滅を中心に幅広く対策を講じる必要を感じている」との危機感をにじませた。
労災多発2月に指導啓発で要請
さらに、1月下旬に千葉労働局労働基準部長から文書で「例年労働災害が多発する2月に、会員に対する労働災害防止のための指導・啓発を実施するよう要請を受けた」ことを報告した氏は「公共工事における月別の労働災害状況は、他の月に比べて2月が非常に多く、平均の1・4倍、少ない月の約3倍」とのデータを紹介。「これらを会員全体に十分周知し、支部と分会が力を合わせて重篤な労働災害を撲滅するため、取り組みを強めていく」との決意を示し、あいさつとした。
3年連続増で『STOP』を
次いで、安全衛生行政を代表して千葉労働局の小澤局長は、県内建設業における昨年の死亡災害の「事故型別」の主な内訳について「墜落・転落9人、交通事故6人、はさまれ・巻き込まれ3人、飛来・落下3人となり、特に現場から帰社途中の交通事故が近年になく多い」と指摘するとともに「工事現場内の安全管理に留まらず、運転者への休息時間の確保などの配慮もお願いしたい」と要請。
また、昨年12月に実施した県内の建設工事現場(99現場)における一斉監督指導実施結果(5日付1面既報)については、「99現場の約5割で違反があり、労働災害防止対策が徹底されていない現場が少なからず認められた」と述べ「建設工事現場に対する監督指導を重点的に実施するとともに、死亡・重大災害防止に有効なリスクアセスメント等の導入についても積極的に指導を行う」との姿勢を示した。
災害が多発する年度末に向けては、「建設業年度末労働災害防止強調月間の積極的な取り組みをはじめとする労働災害防止活動の一層の推進により、今年こそ、3年連続で増加した建設業の死亡災害に『STOP』をお願いする」と弁。
さらに、厚生労働省で新たに「STOP転倒災害プロジェクト2015」を立ち上げ、転倒リスクの総点検と必要な対策とともに、安全意識の高揚で安心して働ける職場環境の実現を目的に実施することを説明した小澤局長は、死傷者の1割以上を占める県内建設業の転倒災害に対し「工事現場における作業通路の確保や点検など、防止するための積極的な取り組みをお願いする」と重ねて要請し、あいさつに代えた。