建設新聞社
2015/01/30
【東北・宮城】Jヴィレッジの復興・再整備計画を決定
【福島県庁など】
15年度に基本・実施設計、宿泊棟増設なども
全天候型サッカー場新設など
Jヴィレッジの復興・再整備計画
福島第一原発事故により閉鎖中のJFAナショナルトレーニングセンター 「Jヴィレッジ」の再開に向け、福島県などで組織するJヴィレッジ復興プロジェクト委員会(第3回)が29日に福島県庁で開催され、2019年4月の全面再開を目標に掲げ、新たな付加価値となる全天候型サッカー練習場の新設や宿泊施設の増設などを盛り込んだ復興・再整備計画案を承認した。15年度で設計を作成することなどを決めた。
国内最大規模のサッカートレーニング施設として1997年にオープンした同施設は、福島県楢葉町山田岡字美シ森8ほか地内で約49fもの敷地を有し、5000人収容のスタジアムやフィールド(天然芝10面、人工芝1面)のほか、宿泊機能等を有するセンター棟(RC一部SRC造2〜4階建て、延べ1万0545平方b)などで構成する。
原発事故以降は、廃炉に向けた前線基地として東京電力が使用しているが、同社が16年度内に基地機能を移転させる方針を示したことを受け、県や施設の所有者である一般財団法人・福島県電源地域振興財団(事務局=福島県)らが14年5月に復興プロジェクト委員会を立ち上げ、20年の東京オリンピック開催前の営業再開を目指す復興・再整備計画の策定を進めてきた。また、同財団は施設の被災状況等調査を大広(東京都港区)に委託した。
復興・再整備計画では、福島第一原発から約20`bという立地のため風評被害が予想されることから、徹底した除染による利用者の安全・安心の確保を大前提とした上で、被災または老朽化した施設の原状回復に留まらず、県の復興のシンボルとなる新たな付加価値を備えた施設として、類似施設との差別化を図ることを目的とする。
付加価値として新設する全天候型サッカー練習場は、1面規模の汎用性のある施設とし、設計・工事費は20億〜30億円を想定。また、増設する宿泊施設については、イノベーション・コースト構想や廃炉関係研究者のビジネスニーズに対応できるコンベンション機能を加えるとともに、客室は、基本設計の中で50部屋〜200部屋の間で検討する。設計・工事費は15億〜20億程度。
このほか、既存レストランの拡張、子ども向け体験型交流施設の新設、太陽光発電の導入、駐車場の増設、敷地内における利便性の高い動線確保などを盛り込んだ。
なお、既存施設の原状回復工事は東京電力、各種施設の新設工事は福島県電源地域振興財団が実施する。整備費用は、国や支援企業・団体などに支援を求めていく。
今後、15年度で基本・実施設計を作成、16年度は東京電力の基地機能撤収期間とし、17年度に再整備工事に着手する方針だ。