福島建設工業新聞社
2015/01/28
【福島】放射性物質分析・研究施設/JAEA 実施設計でプロポ公示
日本原子力研究開発機構(JAEA)は、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けて難測定核種の分析、モニタリング手法開発などを行う「分析・研究施設」(大熊分析・研究センター)の実施設計に着手する。業務の委託先を総合評価型プロポーザル方式で選定するため27日付で技術提案書の提出要領を公示した。今回の業務は同施設のうち主に放射線量が低・中線量の廃棄物の分析を行う「第1棟」(RC造地上2階地下1階建て延べ約1万平方b)および「施設管理棟」(S造4階建て延べ約5000平方)が中心。年度内に委託契約を締結し、28年3月末までに設計完了。第1棟の工事着手は同年6月ごろを予定している。
分析・研究施設は、政府がJAEAに850億円を出資して進めている「放射性物質研究拠点施設等整備事業」の一環で、遠隔操作機器・装置開発実証施設のモックアップ施設と並ぶ研究拠点。福島第一原発からの高線量の放射性物質の分析・研究や最先端の放射性物質に係る研究を実施。高線量試料を遮へい機能の高い部屋に入れ、マニピュレーター等を用いての分析・研究などを行う計画。
敷地は大熊町夫沢地内の約7万8000平方b。ガレキ類、伐採木(焼却灰)、解体廃棄物など低・中線量試料を受け入れる「第1棟」、燃料デブリ、汚染水処理2次廃棄物など高線量試料を受け入れる「第2棟」のほか、分析・研究施設の管理施設となる「施設管理棟」などを配置する。今回の業務は「第1棟」「施設管理棟」と特高変電所、共同溝、構内道路、駐車場、屋外ユーティリティなどの実施設計を行う。「第2棟」の実施設計は今年夏ごろ発注となる見通し。
プロポーザルは同機構または文部科学省における建築関係設計・施工管理業務の認定者が対象で、管理技術者(1級建築士)および主たる分担業務分野の主任担当技術者、企業に対して同種または類似業務の実績要件を設定。参加表明書および技術提案書を2月20日午前11時まで契約部契約第3課に持参または郵送で提出する。
委託者の選定は外部有識者も含めた総合評価委員会が担当。@空間線量率が高い地域における建設工事中および施設供用中の室内の放射性物質汚染リスクの低減に有効な設計上の配慮A建設地域の作業環境条件を踏まえた施設設計上の配慮│などの技術提案を審査し、総合評価により技術的に最適な者を特定する。スケジュールは、3月9日にヒアリングを実施し、同13日に委託先を特定。契約交渉を経て同27日までには契約を締結する予定。