建通新聞社四国
2015/01/13
【香川】香川県 空き家対策に新制度
香川県は2015年度当初予算要求に新規施策の「老朽危険空き家除却支援事業」を盛り込んだ。空き家問題の解消で国の「空き家対策推進特別措置法」が成立。県町村会から「空き家対策」として、社会資本整備総合交付金に係る地方負担分に県負担の配慮を求める要望が出されており、県もこれに応じた格好。15年度当初予算案に所要額が盛り込まれれば、県は市町と連携し老朽危険空き家の除却に対して補助を行う。
老朽化し倒壊などの恐れのある空き家は防災面をはじめ、環境面など住民生活に影響を及ぼすことから除却に対し市町の負担を県が負担する補助制度を新設する。特別措置法などを踏まえ、県は国の社会資本整備総合交付金等の基幹事業「空き家再生等推進事業」をベースに市町を支援する独自の補助制度を検討しており、今後15年4月1日からの施行に向け、市町と協議しつつ補助制度の要綱を固める構え。
国の「空き家再生等推進事業」(除却事業タイプ)は、老朽化の著しい住宅が存在する地区での居住環境の整備改善を図るため、不良住宅や空き家住宅、空き家建築物の除却する補助制度。不良住宅や空き家住宅、空き建築物の除却等に必要な費用(「除却工事費」+「除却により通常生じる損失の補償費」)の8割が補助対象経費になる。
除却工事費の負担割合は事業主体が地方公共団体、民間の場合に国費5分の2、地方公共団体5分の2が補助対象限度額。このうち県町村会からは地方公共団体負担分に県負担を求める要望が出されていた。市町へ除却費の補助を行う県の独自制度は、この地方公共団体負担分を軽減する狙い。県は倒壊し得る空き家を前提に除却補助を行う考えで、今後市町と協議し県負担割合や除却工事費の補助限度額など詳細を検討し要綱を作成する。
香川県内の空き家率は総務省が13年10月1日時点でまとめた住宅・土地統計調査によると、住宅総数47万0500戸のうち、空き家8万0900戸で17・2%と全国7位。さらに賃貸や売却、社宅など産業用を含め運用、活用が期待できるものを除く空き家は4万5700戸で、空き家率9・7%と全国5位に入り県内の空き家対策問題は深刻だ。
県内では多度津町と善通寺市が空き家等に関する適正管理条例を施行し、管理面に問題がある場合に指導・助言。土庄町は美しいまちづくり条例の中で環境美化の面から空き家管理を打ち出している。丸亀市は空き家対策に係る条例を準備中。空き家対策に係る除却工事等への補助制度で県が市町村に対し補助を行っているのは兵庫県と四国では徳島県と高知県のみ。香川県の新補助制度創設も空き家対策として全国的に早い対応と言えそうだ。