建通新聞社
2015/01/09
【大阪】橋梁でも液状化対策 南トラに備え大阪市
大阪市港湾局と建設局は、南海トラフ巨大地震に対する橋梁の耐震化で、橋台支持地盤の液状化対策に着手する。全国的にもあまり例のない取り組みとされ、2015年度に工法を検討。16年度当初に対策方針を示した上で、詳細設計・工事を順次進めていく方針だ。
対象橋梁は、両局合わせて60橋を超える。湾岸部では、港湾局所管の此花大橋、南港大橋、かもめ大橋、平林大橋、正平橋の5橋について検討を進める。建設局所管分は難波津橋など約60橋が見込まれる。
橋梁の液状化対策は、東日本大震災後の新たな知見に基づく取り組みで、地震により支持地盤(基礎)が液状化し、支えを失った橋台が移動することで橋桁が落ちることを防ぐ取り組み。
一般的には、対策費が高額になることが予想されるため、担当者は「国の補助制度の動向も踏まえ、最適な対策工法を見極めたい」としている。
検討業務については、照査業務と工法検討を一括する方向で、15年度早々の外注を予定。委託方法は、入札またはプロポーザルで調整中。両局の対象橋梁を一括しての外注も考えられるようだ。委託費は港湾局分2600万円、建設局分3000万円を来年度の当初予算編成で要求している。
市では、14年度に地震動、津波、液状化の3点の影響について、建設局の250橋と港湾局の2橋・2トンネルを対象に検証。
地震動に対しては、現行の耐震対策が橋脚・橋台自体の補強を中心としていることもあって、かもめ大橋を除く全橋で新たな対策は不要と判定された。かもめ大橋については、15年度に照査業務を外注し、対策の要否を判定する。
津波に対しては、建設局所管の約20橋の対策が必要と判定。15年度は千船橋など優先度の高い5橋の詳細設計を予定し、16年度以降に工事と、残る橋梁の対策を順次実施していく。期間は20年度まで。橋桁の浮き上がりを防ぐため、ケーブルなどで橋桁を固定する方法を検討する。全体の概算事業費は約3億円。
南海トラフ地震対策では、河川や海沿いの護岸・堤防で液状化対策が進められているが、橋梁では初の取り組みとなる。