建通新聞社
2014/12/25
【大阪】「整備すべき」 BNCT検討会議提言
大阪府は、BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)の実用化推進と拠点形成に向けて、施設の在り方など基本的な考え方を学識経験者による検討会議でまとめた。施設整備費には約20億円を想定。検討会議から「先導的な研究拠点の一層の機能強化と施設整備を戦略的に進めることが必要。BNCTの実施できる施設を整備すべき」との提言を受けており、今後、大学や研究機関などと連携しながら早期具体化を図る。
BNCTは数年後の実用化を目指す新たながん治療法。2012年秋に治験が開始されており、18〜19年度ごろには薬事承認、先進医療の申請が完了するとみられる。
こうした動きを踏まえ府は、同時期での開院を想定。ことし5月にBNCT実用化推進と拠点形成に向けた検討会議(議長・小野公二京都大学名誉教授)を設置し、研究体制や人材育成、施設の在り方などについての基本的な考え方を前もって検討してきた。
府域に設置する場合のBNCT医療施設の規模例によると、想定床面積は地下1階(一部地下2階)地上2階建て延べ約2500平方b。総事業費約20億円。別に加速器BNCTシステム費約20億円(年間維持管理費1億円)を見込む。治療室は2ポート運用を基本とし、土地や資金面に余力があれば将来的な拡張への対応準備として3ポート目を整備することも考えられるとした。
施設内容は、地下に照射関連の治療室、加速器室(地下2フロア使用)、操作室、地上部に待合室、診察室、待機室、事務室などを配置する。
運営体制には、大学、研究機関、行政、民間企業で構成する運営委員会を主体とした新たな団体(財団法人など)を想定する。
BNCTは、がん細胞にホウ素薬剤を投与し、熱外中性子線を照射。ホウ素と中性子の反応を利用し、がん細胞だけを破壊する治療方法。関西の大学と研究機関が研究をリードしているという。