建通新聞社(東京)
2014/12/24
【東京】物価上昇で483億円、セキュリティー経費で113億円
東京都は2020年東京オリンピック・パラリンピック会場計画の見直しで、都が建設する恒久施設の事業費2576億円の内訳を明らかにした。調査・設計委託費や周辺整備を含めた工事費として1862億円を見込むとともに、建設物価の上昇を484億円、工事中のセキュリティー経費を113億円、消費増税(5→10%)を117億円と試算。本体工事費以外の費用が約28%を占めることが分かった。
五輪開催に当たり都が立候補ファイルに新設を位置付けたのは▽オリンピックアクアティクスセンター(水泳)▽海の森水上競技場(ボート・カヌー)▽有明アリーナ(バレーボール)▽夢の島ユース・プラザ・アリーナA(バドミントン)▽夢の島ユース・プラザ・アリーナB(バスケットボール)▽若洲オリンピックマリーナ(セーリング)▽葛西臨海公園(カヌー・スラローム)▽大井ホッケー競技場(ホッケー)▽夢の島公園(アーチェリー)▽武蔵野の森総合スポーツ施設(近代五種・フェンシング)―の10施設。
このうちオリンピックアクアティクスセンターと海の森水上競技場、有明アリーナの3施設については、現計画地に整備する前提で基本設計を委託する。会場計画を見直す前の試算では、この3施設だけで2125億円の事業費を見込んでいたが、海の森水上競技場の会場レイアウトの変更や護岸延長の縮小などにより整備費を大幅に圧縮。施設整備費を1141億円とし、これに建設物価の上昇分296億円、セキュリティー対策69億円、消費増税分72億円を加えた総額を1578億円と見込んでいる。
会場建設に伴う関連事業費の増大を見込んでいた夢の島ユース・プラザ・アリーナAとアリーナBの2施設は新設を中止。代替会場を別途用意する。若洲オリンピックマリーナについても新設を中止し、既存の若洲ヨット訓練所を改修(拡張)して対応する。これにより3施設で1294億円と試算していた事業費を、建設物価の上昇分20億円、セキュリティー経費5億円、消費増税5億円を加えても総額107億円まで減らす。
葛西臨海公園については建設地を隣接する都有地(下水道処理施設用地)に変更するものの、その他の施設を含め、当初計画に沿った格好で施設整備を進める。既存施設の利用者への影響を極力抑えられる会場計画を検討していく。