建通新聞社四国
2014/12/19
【香川】田万〜長柄ダムの導水トンネル廃止
香川県ダム検証に係る検討委員会(委員長・白木渡香川大学工学部教授)が15日、高松市内で開かれ、綾川ダム群の検証に係る検討やダム検証検討の今後の進め方について審議した(写真)。
綾川ダム群連携事業でダム検証委は県が示した▽事業の点検▽目的別の検討▽総合的な評価―について検証。県は現行計画を修正し、▽洪水調整方式では洪水期制限水位を設けないオールサーチャージ方式▽田万ダムから長柄ダムへの導水トンネルを廃止。長柄ダム嵩上げで確保―するとした評価内容を示した。ダム検証委では、今後現地視察を行いつつ検証していく。
県は治水計画の点検で近年の洪水で計画雨量を超える2004年と11年の2洪水を抽出し、基本高水ピーク流量が毎秒1300立法b内に収まったと報告。
利水計画の点検では「流水の正常な機能の維持」で府中ダム下流区間は▽河川整備計画策定後に堰の建設により湛水区域が形成された▽府中ダムからの義務的放流量により一定の流量が確保されている―などとして府中ダム下流への長柄ダムからの補給は不要―などと報告している。
また、堆砂計画は再開発ダム容量に全ての堆砂容量を見込み、現行計画の約100万立方bから約160万立方bに変更。ダム計画ではこれまで8月11日から10月31日までは台風などに備えるため時期を設定し貯水位を下げる「制限水位」期間としていたものから、近年制限水位期間以外の台風の襲来や活発化した梅雨前線による豪雨に対応できるよう、洪水期制限水位を設けず、年間を通じ一定の洪水調節容量を確保する「オールサーチャージ方式」を採用する。
さらに、導水トンネル効果相当分の容量を長柄ダムのかさ上げにより確保することが経済的に有利となるため、長柄ダムに田万ダムで発生している無効放流(利用されず河川下流へ流出)を導水する「トンネル計画を廃止」すると報告した。
これら点検結果を踏まえ現行計画修正案は長柄ダムの堤高をかさ上げ、42・6bとし洪水調節容量約300万立方b、利水容量を約560万立方b、堆砂容量約160万立方bの合計約1020万立方bにする。総事業費では現時点の現行計画175億円(ダム費142億円、導水トンネル費33億円)から修正案はダム費のみの150億円になる。
また、目的別(治水対策)の詳細検討を行ったところ、現行計画修正案(治水案・長柄ダム再開発と既設田万ダムと河道改修)、利水対策案でも現行計画を修正する長柄ダム再開発案がコストが低く、総合的に優れているとした。
現行計画修正案によると、治水対策では総事業費約309億円(長柄ダム再開発52・5億円、河道改修坂出工区35・3億円、同綾歌工区221億円)と長柄ダム将来的な維持管理費約7億円で約316億円。利水対策面では長柄ダム再開発で97・5億円、維持管理約13億円で約111億円を見込んだ。
委員からは堆砂計画の見込みや環境や生物の影響への配慮を指摘する声も出た。