建通新聞社(東京)
2014/12/12
【東京】「地下鉄整備も必要」の声―五輪レガシー委員会
選手村の後利用を考えるなら地下鉄の整備も必要―。東京都の設置しているオリンピック・パラリンピックレガシー委員会(委員長・舛添要一知事)が10日に行った外部有識者へのヒアリングで、デベロッパーからそんな意見が出た。非公開の会合後、取材に応じた舛添知事は「都が計画している新交通システムBRT(バス・ラピッド・トランジット=バス高速輸送システム)だけではなく、地下鉄の整備が必要といった提案がなされた」と述べ、将来的な地下鉄整備の可能性も含め選手村の事業着手前にまちのグランドデザインを描く考えを打ち出した。
今回のヒアリングは「水素実証とそのレガシー活用」と「選手村とその周辺のレガシー」の二つをテーマに、内閣府と東京ガス、三井不動産レジデンシャルから意見を聞いた。
選手村については、跡施設に新たな入居者が暮らしていくために必要な機能などについて話を聞いたところ、「文化・スポーツ・商業施設などが必要」「BRTだけでは交通手段が足りず、地下鉄整備が必要」といった意見が出たという。6000戸に及ぶ選手村跡地のマンションを販売する際には「経済状況が良くて年間1000戸、普通に考えれば年間500戸計算で12年かかる」「新築ではなく中古の扱いとなるため価値も下がる」などの声もあった。
舛添知事は「大会(五輪)の成功だけでなく、その後のまちづくりが大切だ。夢と希望にあふれた東京の未来像を描く必要がある」と述べ、選手村など五輪関連施設の事業着手前にまちづくりの大きなグランドデザインをまとめていく考えを示した。地下鉄の整備については「五輪前までに完成させるのはコスト、時間的に困難だろう。将来のまちづくりを描く中で整備の必要性を検討していく」とした。
また、国際オリンピック委員会(IOC)が他国を含む広範囲での大会開催や競技種目の追加などの方針を打ち出しことに関連し、選手村の戸数の変更や分村の可能性について触れ、「(戸数など)基本的な考え方を変えるつもりはない」と述べた。