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北海道建設新聞社
2014/12/08

【北海道】石狩川下流の幌向地区で湿原再生−札幌開建が15年度にも調査着手 

 札幌開建は、石狩川下流幌向地区での自然再生事業実施に向け、早ければ2015年度から対策工のための調査や検討に入る方針だ。南幌町内にある夕張川流域の高位泥炭に湿性植物やミズゴケ属を移植して、緑豊かな湿原環境を取り戻す計画。総事業費4億円、工事費1億6600万円を試算し、10年程度での完了を予定している。
 同開建によると、明治期の幌向地区―石狩川と現夕張川の合流地点から、南幌町と岩見沢市の境界付近までの区域には、幌向原野と呼ばれる湿原が広がり、特有の湿性植物が生育する環境が整っていたという。
 当時は、ほろむい7草と名付けられた植物が多く繁殖していたが、明治期に104平方`bあった湿原面積は、土地開発の進行により、現在は0・1平方`bまで縮小した。
 湿原の縮小に伴い、ホロムイコウガイやホロムイクグなど、ほろむい7草の一部は絶滅危急種に指定された。これら希少な植物の生育環境の消失を食い止めるため、同開建は幌向地区に高層湿原を再生することにした。
 夕張川と石狩川の合流地点から夕張川に6`ほどさかのぼった左岸側の高水敷に広がる7fの高位泥炭地の端に遮水工を施し、泥炭層の乾燥を抑止。その後、ほろむい7草や地域の希少植物、ミズゴケ属などを移植して群落を形成させる。
 計画では、15年度から湿地整備と事業評価項目をモニタリングするための調査・検討を進め、16年度に遮水工に取り掛かる。工法は遮水シートを用いるか、浸透性の低い粘土層を活用するか、その他の手段を用いるかを検討している。
 17年度からは、湿原内に植物などを移植し、管理用通路を設置。事業の目標達成度合いを確認するモニタリングも始める見込み。
 湿原再生後は、自然と触れ合う機会の増加や体験学習などで自然環境の重要性を知ってもらう活動のほか、観光資源としての活用など地域活性化への取り組みを見据えている。