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建通新聞社四国
2014/12/02

【香川】高層・低層棟免震改修案が最適 県庁東館

 11月定例県議会開会中の27日、香川県は県庁東館耐震改修(高松市番町)で6パターンの耐震化工法案の中から「高層棟塔屋を耐震補強しつつ、高層、低層棟ともに基礎免震構法により耐震化する免震改修案が最適」とする報告を行った。自由民主党の松原哲也議員の県庁舎東館耐震化に関する質問に浜田恵造県知事が答えた。県庁舎東館は六つの耐震化工法案について、県議会の議論や耐震、建築等専門家の助言も受けながら技術的に検討。最重要となる防災拠点としての耐震性能の確保や、庁舎としての執務機能の確保、工事費等のコスト、工期・工事中の利用制限や文化的価値のほか周辺環境への影響や施工技術などを総合的に検討してきた。
 最適とする免震改修案(図)は、高層棟の基礎下に免震層を新設、塔屋に耐震壁を設置。低層棟は基礎下に免震層を新設する。概算工事費は約42億円(工事42億円)。概算工期は約2年。
 浜田知事は同案を最適とした理由に▽防災拠点として必要なT類の耐震性能を確保▽耐震壁で執務室が分断されることなく執務機能が確保できる▽6パターンの中の改築案(約75億円)とのコスト比較で工事費が約33億円安い▽今後100年間の建設費や維持管理費を含むライフサイクルコストの試算でも9億円〜50億円程度低くなる―などの優位点を挙げた。
 さらに、耐震補強や改築に比べて居ながらの施工ができ、仮庁舎は不要▽建物の内外観が変わらず文化的価値への影響が小さい▽工事中の騒音、振動等による影響や産業廃棄物の発生が最も少ない▽高知県や愛媛県など12道府県の本庁舎等で免震改修が行われており、工法として確立されている▽高層棟6〜8階の耐震補強は不要―などを評価した。
 今後、2015年度当初予算案に基本設計費を盛り込む考えだ。
 県庁舎東館は建築家の故丹下健三氏の設計によるもの。1958年に完成し近代建築の保存に取り組む国際学術組織「DOCOMOMO」の日本の近代建築20選に選ばれている。県は防災拠点施設である東館の耐震化の必要性や文化的価値等について、あらゆる機会を通じ情報発信すると同時に早期に耐震化を図っていく。