福島建設工業新聞社
2014/11/25
【福島】県郡山合同庁舎/今後10年めどに新庁舎
県は20日、郡山合同庁舎の整備方針を提示した。新たな合同庁舎を今後10年以内に整備することとし、27年度には基本構想を策定。具体的な建設場所や施設の規模、整備スケジュール、入居対象などをこの中に盛り込む。建設地については、郡山市との綿密な協議により決定する方針だ。
郡山合同庁舎は震災前には北分庁舎(昭和44年築、RC造3階建て延べ1560平方b)、本庁舎(昭和5年築、RC造4階建て延べ3906平方b)、南分庁舎(昭和43年築、RC造2階建て延べ976平方b)の3棟あったが、北分庁舎が柱せん断などで危険な状態となり24年度に取り壊した。本庁舎は築後80年が経過していたが、構造体に大きな被害はなかったという。
昨年3月から今年9月末にかけて、エーユーエム構造設計に委託して構造耐力等調査を行った結果を踏まえ、耐震補強と適切な維持補修により15年程度の利用は可能との結論に至ったが、被災し24年に取り壊した北分庁舎に入居していた県中建設事務所は、本庁舎から離れた民間ビルに移っており、集約合同庁舎としての機能回復、執務環境改善、県民サービスの向上などの観点から、建て替えることとなった。
まず、敷地内に仮設庁舎を建設。28年度中に完成させ執務を開始する。本庁舎や南分庁舎の耐震改修工事については、新合同庁舎の基本構想の中で検討することとした。
郡山合同庁舎は老朽化に伴い改築を検討した経緯があり、公募型プロポーザルで選定した建築研究所アーキヴィジョンが基本・実施設計を行って14年度に完了した。その後、県の財政状況の悪化による財政構造改革プログラム(14〜22年度)により事業を一時凍結していた。
震災前の22年度当初に開いた公共事業評価委員会では、プログラム終了後に財政状況を勘案し事業継続とした県の方針に対し、委員からは設計時点から長期間経過しているため、設計内容の見直しが必要との意見が出された。法令等当時の環境と大きく異なっているため、改めて設計等を行うものとみられる。
郡山合同庁舎本庁舎は、世界恐慌下の昭和5年に郡山市役所として建設。昭和43年に朝日1丁目に新市庁舎が建設され、県合同庁舎となった。設計は宮田荘七郎、施工は増子組。竣工時には日本建築学会発行「建築雑誌」に紹介されたという。シンメトリーでモダンゴシック様式という当時の官庁施設の王道であり現存施設は少なくなっており、文化財的な価値は高いとみられる。