建通新聞社四国
2014/11/21
【徳島】防潮堤「ネオライズ」を評価
陸閘(こう)閉鎖方法新技術評価委員会(委員長・中野晋徳島大学大学院教授)の第3回会合が17日に徳島県庁で開かれ、日立造船が4月から10月にかけて日和佐港で実施した浮体式起伏ゲートをベースにした防潮壁「neo RiSe」(ネオライズ)の実証実験結果を審議し、同技術が既存陸閘と同等かそれ以上の機能であるとし、県が求める機能をほぼ満たしているとした。評価結果を受けて県は、特に更新時期を迎えている陸閘に対し、同技術を採用するか検討に入る方針。
東日本大震災を教訓に、津波到達時間が短い箇所に設置されている陸閘の自動閉鎖の新技術を企業や研究機関から募集し、実証実験による効果が確認できれば活用しようという取り組み。県は、台風や高潮に対して、従来通り手動操作で陸閘の閉鎖を行い、津波の到達時間が短く操作人が閉鎖作業を行えない場合に、安全かつ迅速・確実に閉鎖できる技術を求めており、実証実験には公募により、日立造船が参加していた。
同社のネオライズは、無動力で人為操作を必要とせずに開口部を閉塞でき、またシンプルな構造のため、故障の心配がなく、維持管理にも優れるとされる技術。委員からは選考時から部材の腐食に対する耐久性や閉鎖の適応性に高い評価を得るなど、全体的に既設陸閘と同等以上であるとの評価を得ていた。
実証実験結果報告で同社は、自動操作(閉鎖の適応性と閉鎖に要する時間)と手動操作(操作性)に関する確実性や、安全性(常時開放時の安全性と自動閉鎖時の避難者などへの安全対策)、施工性(設置における施工性)、経済性(製作・設置コストとライフサイクルコスト)について、ネオライズの機能を既存の陸閘と比較し説明。
委員は閉鎖の自動操作2項目と製作・設置コストについては、既存陸閘より優れていると評価したが、操作性や安全性2項目、ライフサイクルコストについて、既存陸閘と同等程度と評価した。特に、手動の操作性については、現状では2人の同時操作が必要で、扉体が大規模になるほど操作性が疑問視されることから、やや厳しい評価を受けており、今後改良を施すことにしている。
今回の委員会(最終)で一定の効果が認められたことから、県は津波の急襲で操作人による閉鎖作業が行えない県南部の陸閘(特に更新時期を迎えている)への同技術の導入を検討することにしている。